印議会、カシミールの自治権剥奪を承認 政府の直轄領へ
ニューデリー(CNN) インド議会下院は6日、北部ジャム・カシミール州に付与していた自治権を剥奪(はくだつ)し、連邦政府の直轄領とする法案を賛成370、反対70で可決した。
インドの制度では、州政府が地域の問題に関して大きな権限を保持しているが、連邦直轄領になれば中央政府の発言権が強まることになる。
法案は5日に議会上院を通過しており、今後大統領の署名を経て法律として成立する。ただ将来的に訴訟の対象となる可能性もある。
インドとパキスタンがともに領有権を主張するカシミール地方は、世界で最も危険な紛争地域のひとつとされ、過去70年以上にわたり武力衝突が頻発してきた。インド政府は5日、ジャム・カシミール州の自治権を認めた憲法370条を廃止する意向を表明していた。
370条の廃止により、同州には憲法中のすべての条項が適用されるようになる。州外に住む人が州内の不動産を購入したり、これまで州内居住者のためのものとされていた職に就くことも認められる。
専門家によれば、今回の措置を受けて、イスラム教徒が多数派を占める同州の人口構成は恒常的に変化する可能性がある。連邦直轄領への地位の変更は、ただでさえ不安定な地域の緊張を高め、さらなる武力衝突のリスク要因になるという。