モディ印首相、カシミールから「テロ」排除と強調 自治剥奪で演説
ニューデリー(CNN) インドのモディ首相は8日、テレビ演説を行い、パキスタンと領有権を争うカシミール地方のインド支配地域から自治権をはく奪した決定について、「テロ」排除が目的だと強調した。
モディ氏は演説で、北部ジャム・カシミール州に特別な地位と権限を与えていた憲法370条に言及。同条が「分離主義やテロ、王朝政治、汚職」を引き起こしてきたと主張した。
さらに「我々は国家として歴史的な決定を下した」とし、「過去の制度によりジャム・カシミールとラダックの住民は多くの権利を奪われ、発展の大きな妨げとなっていた。今それが終わった」と述べた。
インド議会は6日、ジャム・カシミール州を連邦直轄領に再編する法案を可決し、同州に対するインド政府の権限を強化した。同州はインドで唯一、イスラム教徒が多数派を占める地域。
ただでさえ軍が重点配備されている同地域にはこのところ、数万人規模のインド軍要員が動員され、複数の有力政治家が自宅軟禁下に置かれる状況となっている。
国連は8日、パキスタンとインド両国に対し、ジャム・カシミール州の地位に影響を与える可能性のある措置を控えるよう要請。グテーレス事務総長は声明で、「カシミール地方のインド側で制限が敷かれているとの報道を懸念している。同地域の人権状況を悪化させかねない」と述べた。
一方、モディ氏は今回の決定により同地域に安定がもたらされるとの見通しを示し、「我々はジャム・カシミール州からテロを排除する」「ジャム・カシミールの人々が分離主義を打ち負かし、新たな希望とともに前に進むものと確信している」と強調した。