焼け焦げた木々や家財道具でクリスマスツリー、火災の惨状伝える 豪
(CNN) 豪シドニーの中心部に、焼け焦げた木々や家財道具を組み合わせて作った巨大なクリスマスツリーが展示されている。地元のアーティストによる作品で、材料は大規模な森林火災の現場での燃え残りを集めたもの。まばゆい装飾とライトに彩られた通常のツリーとは異なり、自然災害の恐ろしさを改めて思い起こさせるシンボルとなっている。
作品を手掛けたアーティストのジェームズ・ダイブさんはCNNの取材に答え、「ツリーを表すのに最もふさわしい言葉は悲しみだと思う」と語った。ツリーの材料はダイブさん自ら大規模火災があったばかりの現場から収集したが、その間は一日中、鳥の鳴き声を聞くことはなかった。ほかの動物の姿も全くみられなかったという。
木々のほか、現場で焼け残った日用品もツリーの一部となった。その中には目覚まし時計やゲートフェンス、自転車のホイールなどが含まれる。自転車のホイールは、星の飾りの代わりにツリーの頂点に取り付けられた。
ダイブさんやシドニー市とともに今回の展示計画に携わった赤十字は報道向けの発表で、こうした日用品を加えることで共同体意識を呼び起こし、火災がもたらした人的損失に気付かせるねらいがあったと説明した。
ツリーの根元には、鮮やかにラッピングされたプレゼントの箱が並ぶ。火災で森林や家屋が破壊されても、希望に満ちたクリスマスの精神を忘れないようにしようという思いを込めたものだ。箱には、携帯端末をかざすだけで被災者への寄付が行えるタグもついている。
ダイブさんの地元の地域では過去2カ月にわたって森林火災が続き、700を超える家屋が倒壊。4人の死者が出た。