安置所に遺体が「山積み」、新型コロナ対応に苦慮 イラン
(CNN) 黒い袋に包まれ安置所の床に並ぶ数十の遺体。その間を縫って、防護服とマスクを着用した職員が忙しく歩き回る――。
イラン中部コムにある遺体安置所の内部をとらえた映像の内容だ。この中に新型コロナウイルス感染者の遺体があるのか、あるとすればどの遺体なのかは分からない。
イランにとっての問題はまさにこの点にある。イランは中国以外で感染規模が最悪となっている国の一つで、当局によると3500人以上が感染、少なくとも107人が死亡している。
イランのイスラム教の伝統では通常、遺体は石けんと水で洗い清められた後、埋葬に付される。しかしコムの医療従事者2人はCNNの取材に、一部では感染拡大への予防措置として、埋葬に関する伝統的なイスラムの教えを守れないケースも出ていると明かした。
死亡時に感染が確認されていた人の場合、埋葬先の墓地の土壌にウイルスがまん延する事態を防ぐため、代わりに生石灰による消毒が行われるという。
これらの情報筋は治安部隊による報復を恐れ、匿名で取材に応じた。
国営イラン放送(IRIB)は安置所の責任者の話として、ウイルス検査に時間がかかって埋葬が遅れ、遺体が「山積み」になる事態を招いていると伝えている。
この責任者は「ウイルスによる死者とそれ以外の死者では埋葬に関する指示が異なることから、我々は対応を迫られている」と説明。「検査結果が出るまで1日か2日、遺体を預かって欲しいという家族もいる」とも明かした。
前出の動画について、IRIBは安置所の内部で撮影されたものだと確認した。動画を流出させたとして1人が逮捕されている。イランの半国営通信ISNAによると、この件は司法当局に付託されたという。