世界の要人から94億円詐取、マスクで外相に変装 仏詐欺グループに実刑判決
(CNN) フランスのルドリアン外相に変装した詐欺グループが各国の要人や資産家をだまし、総額8000万ユーロ(約94億円)を詐取していた事件で、パリの裁判所は12日、3被告に禁錮刑や罰金などの判決を言い渡した。
ルドリアン外相の弁護士によると、この事件で組織的な詐欺などの罪に問われたギルバート・チクリ被告は禁錮11年と罰金200万ユーロを言い渡された。アンソニー・ラザレビッチ被告は禁錮7年と罰金100万ユーロの支払いを命じられた。
詐欺グループはルドリアン外相になりすまし、イスラム過激派の人質にされたフランス人を解放するための身代金に充てると称していた。もう1人の被告はまだ逃走を続けており、本人不在のまま禁錮5年、罰金100万ユーロの判決を言い渡された。
チクリ、ラザレビッチの両被告はまた、被害に遭ったトルコの大物実業家イナン・クラチ氏に4400万ユーロの損害賠償を、宗教指導者のアガ・ハーン氏には1060万ユーロの損害賠償を支払うよう命じられた。
この事件では2年あまりの間に150人以上が被害に遭った。被害者にはニジェール大統領、ノルウェー首相、フランス・リヨンの大司教、著名ワイナリー、シャトーマルゴーのオーナー、ベルギー国王、ユネスコ事務総長などのほか、企業経営者多数が含まれる。
詐欺グループは、世界50カ国の大使館や政府機関から金をだまし取ろうとしていたとされ、まず電話で相手を信頼させて、スカイプのビデオ電話に誘導する手口を利用。シリコン製のマスクを着けてルドリアン外相に変装した人物が、フランス国旗と欧州の国旗を掲げて外相執務室に見せかけた部屋に座っていた。
モナコ公国のアルベール2世に変装する計画もあったとされ、ラザレビッチ被告の携帯電話からは、アルベール2世の顔のシリコンマスクの写真が見つかっている。