世界の女性の乳がん、肺がんを上回り最多に 昨年の新規患者数の推計
(CNN) 2020年に世界で乳がんと診断された女性の数が肺がん患者数を上回り、がんの全症例に占める割合で最多になったとの推計結果が4日、米医学誌で発表された。
この論文によると、昨年1年間で新規に乳がんと診断された女性の症例は約230万例で、がんの全症例のうち11.7%を占める。一方、新規に肺がんと診断された症例は11.4%の220万例だった。
それ以前の20年間は、肺がんと診断される患者が最も多い状況が続いてきた。
論文を発表した米国がん協会の研究者は、「順位の変化はがんの疫学転換の兆候だ」「私たちにとってこれは予想外のニュースだった」と説明する。
2018年の時点では、肺がんが最多の209万3876例で、乳がんの208万8849例を上回っていた。
「乳がんの増加傾向は、過剰な体重、運動不足、飲酒、出産の延期、出生数の減少、授乳の減少といった乳がんリスク要因の増大を反映していると思われる」と研究者は推測する。
一方、男女の合計で死者が最も多いのは依然として肺がんで、がんによる死者の18%に当たる推定180万人を占めていた。
男女別にみると、がんで死亡した男性の21.5%は肺がんが原因だった。一方、女性は乳がんが15.5%で最も多かった。
今回の報告は、国際がん研究機関の統計に基づいている。2020に世界で報告された新規のがんの症例は推定1930万例、死亡は1000万例だった。
世界で新規の症例数が多かったがんは、女性の乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、胃がんの順だった。
推計値は前年のがん関連のデータから外挿法で得られたもので、新型コロナウイルスの流行ががんの診断や死亡例に与えた影響は反映されていない。