イタリア、オーストラリア向けのワクチン輸出を阻止 EUの制限措置を適用
ローマ(CNN) イタリア当局は4日、同国で生産された英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンについて、オーストラリアに向けた25万回分あまりの輸出許可を拒否した。欧州連合(EU)が先月導入したワクチンの輸出制限措置が初めて適用された。
英紙フィナンシャル・タイムズが最初に伝えた。ドラギ伊首相の報道官はCNNに対して、輸出を阻止したことを確認し、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会の同意を得た措置だと述べた。
欧州委は1月末、アストラゼネカ製ワクチンのEU域内への供給が予定より大幅に削減されるとの通告を受け、加盟各国で生産されたワクチンに対する輸出規制を発表。域外への出荷に生産国の許可を義務付けていた。ただし、人道支援やワクチン分配の国際的枠組み「COVAX(コバックス)」に基づく輸出は規制の対象外とされた。
イタリア外務省は4日、オーストラリアはEUが規制から外した国に該当しないと説明。アストラゼネカには適量の研究用サンプルのみ輸出を許可していたが、今回の申請は25万700回分に上ることから却下したと述べた。
事情に詳しいEU当局者が4日、匿名でCNNに語ったところによると、欧州委は決められた手順に沿ってイタリアの決定を受け入れたという。
同当局者によれば、EU加盟国からは輸出制限措置が導入されてから今月1日までに、日本向けを含む計174件のワクチン輸出が許可されていた。