短距離の国内便を禁止に、排出削減法案が下院通過 フランス
(CNN) フランスで二酸化炭素の排出削減を目的として、列車で行ける距離の国内航空路線禁止を盛り込んだ法案が下院を通過した。
法案が上院を通過すれば、列車で2時間半以内で行ける距離の国内航空路線は一部が廃止される。この措置を盛り込んだ気候変動対策法案は10日に下院を通過した。
ただし同法案をめぐっては、エマニュエル・マクロン大統領が骨抜きにしたとして一部で批判の声も出ている。同国の環境有識者会議は、列車で4時間以内で行ける範囲の短距離航空路線禁止を勧告していた。
これに対してジャンバティスト・ジェバリ交通担当相は法案審議の中で、列車で2時間半の距離は「理にかなっている」と述べ、4時間以内の範囲とした場合、航空便を必要とする地域に大きな打撃を与えかねないと指摘した。
ジェバリ氏は「確実な代替手段があれば、客は普通、列車に切り替える」としてストラスブールやボルドーとパリを結ぶ路線を例に挙げ、「高速鉄道が空の便と競うたび、(空の便は)ほとんど空っぽになっていた」と語った。
同法案が成立すれば、パリのオルリー空港とナントやリヨンを結ぶ空の便も廃止になる。
ただし国際便の乗り継ぎに利用される便には同法案は適用されない。つまり、パリのシャルル・ドゴール空港は大部分が適用を免れる。
新型コロナウイルス禍で航空業界の業績は低迷しているが、欧州では多くの国が、国内航空便の代替として列車の利用を促そうとしている。
昨年はオーストリア航空が政府の救済を受ける条件として、環境基準を満たすために1路線の運航を中止し、代わりに本数を増やして列車を運行するよう指示されていた。