分離派支配地域の車両爆発は「自作自演」 米・ウクライナ当局者
(CNN) ウクライナと米国の当局者は19日までに、ロシアの支援を受ける分離派の実効支配地域で起きた車両爆発について、ウクライナ東部の緊張をあおることを目的とした自作自演の攻撃との見方を示した。
ウクライナ東部ドネツク市からの映像には、駐車場での火災の様子や大きく損傷した軍用車が映っている。現場は分離派の自称「ドネツク人民共和国(DPR)」の本部に近い地域。
DPRの公式チャンネルは「午後7時ごろ、政府庁舎近くの駐車場で車が爆破され、市内全域で爆発音が聞こえた。緊急事態省が現場に向かった」としている。
一連の画像や動画に映る損傷した車両について、CNNはロシア製の四輪駆動車と特定した。損傷や火災の原因について確認する手段はない。
ウクライナ内務省の顧問を務めるアントン・ゲラシチェンコ氏はCNNに対し、「自作自演の挑発だと考えている」と説明。米国務省当局者はこれを「偽旗作戦」と呼び、車両爆発や分離派指導者による退避の呼び掛けについて「ロシアがこの紛争の侵略者であることをうそや偽情報を通じて曖昧(あいまい)にするさらなる試み」との見方を示した。
米当局者や他の西側の指導者はこれまで、ロシアが全面侵攻の口実をつくるため、ウクライナ東部での暴力をあおる可能性があると繰り返し警告してきた。
欧州安全保障協力機構(OSCE)はこれに先立ち、ウクライナと分離主義勢力が対峙(たいじ)する前線で17日から停戦違反が急増していると報告していた。
ウクライナ東部で2014年に始まった紛争では1万4000人あまりが死亡。14~15年の激しい戦闘の結果、ルガンスク、ドネツク両州の一部はロシアの支援を受ける分離派の支配下に入った。DPRについてはロシアを含めどの政府も承認していない。