外交官の娘の首をはねて殺害、二重国籍の男に死刑判決 パキスタン
イスラマバード(CNN) パキスタンの首都イスラマバードの裁判所は24日、著名外交官の娘の首をはねて殺害したとして殺人罪で起訴された男に死刑判決を言い渡した。パキスタンではこの事件をきっかけに、ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者を守る対策の強化を求める声が強まっている。
有罪判決を受けたのはザヒール・ジャファー被告(30)。昨年7月、イスラマバードの高級住宅街にある同被告の家族の家で、外交官の娘のノール・ムカダムさん(当時27)を殺害したとされる。
ジャファー被告は裕福な一家に生まれ、パキスタンと米国の二重国籍をもつ。事件現場で逮捕され、計画殺人や強姦、拉致、監禁の罪で起訴された。本人は全ての罪状に無罪を主張していた。
殺害されたムカダムさん父のシャウカット・ムカダムさんは、「これはパキスタンの全ての娘のための判決だ」「社会やマスコミが私たちの味方になってくれ、全国民と世界が味方になってくれた」と判決を歓迎した。
亡くなったノール・ムカダムさん/Courtesy Shaukhat Mukkadam
パキスタンにはDVを取り締まる法律がなく、多くの女性が暴力の被害に遭っている。
パキスタンの2008~18年のDVに関する文献を調べた世界保健機関の調査によれば、パキスタンの家父長社会で家庭内暴力は普通のことと受け止める文化があり、被害は報告されないままになることが多い。
同国人権省によれば、17~18年に実施された実態調査では、15~49歳の女性の約28%が、15歳以降に身体的暴行を受けたことがあると回答した。
ムカダムさん殺害をきっかけとして、女性や子ども、弱者に対する暴行の加害者を罰する法案を通過させるよう、議会に求める声が改めて強まっている。