「我々が選んだわけではない」 ウクライナ戦争の理解に苦しむロシア国民
しかし、モスクワに住むアリーナさん(25)のようなロシアの若者は、テレビを見ていない。インターネットを利用してブログを読んだり、ブロガーの話を聞いたりしている。まだデモには参加していないが、街中でリュックやカバンに「戦争反対」のサインを貼り付けて「無言の抗議」に参加する若者を目にしてきた。
アリーナさんもまた、なぜウクライナで戦争が起きているのか、そしてそれが若いロシア人である自分の人生にとって何を意味するのか、理解に苦しんでいるという。
しかし、アリーナさんの母親はまったく違う見方をしている。「母はテレビで見ることをすべて信じている」とアリーナさんは言う。
「プーチンは必要な措置を講じたというのが母の考えだ。兵器が国を取り囲んでいるから、西側からの脅威があるから、プーチンは今回のような行動に出ていると信じている」。
アリーナさんは、母親と「とても激しい言い争いをした」という。
「母は私の言うことを信じないし、私も母の言うことを信じない。私たちの情報源は全く違う。私は、ロシアでは長い間ほとんどブロックされている独立系メディアからすべてを学び、母はテレビを見ている」。
アリーナさんと彼女の友人たちは、ウクライナに関するニュースをソーシャルメディアで追いながら、プーチン氏のウクライナ攻撃決定に対する西側諸国の反発を目にしている。ロシア人は矛盾した、正反対の反応をしているとアリーナさんは言う。
「1つ目は、誰もが『そうだ、恥じるべきだ』と言うこと。2つ目は、『いや、自分たちを恥じないようにしよう、自分たちが決めたのではないことを自分たちに押し付けないようにしよう』というもの」。
しかし、両者の立場は1つの点で一致しているとアリーナさんは言う。「国際社会に『国民は大統領ではない。そして自分たちが現状を選択したわけではない』ということを知ってもらいたいのだ」。