飛行禁止区域設定の要請
この戦争がいつまで長引くのかを考える上で不透明な要素の一つは、ウクライナの支援国が、ウクライナ軍が使用訓練を受けている武器をいつまで現実的に供給し続けられるかという点だ。S300を含め供給された武器の多くはソ連時代のもので、その再供給がどの程度容易なのかはわからない。
CNNが以前報じた通り、ウクライナは何年も前からS300を保有している。スロバキアはウクライナにさらに供給品を送ることで暫定的に合意した。CNNは先ごろ、米国がウクライナにS300を供給可能な国の確定を進めていると伝えた。
NATOはウクライナ上空に飛行禁止区域の設定をしないと何度も明言している。ロシアとの戦争に引きずり込まれたくないのが理由だ。米国も同様の理由で、ポーランドなどの東欧諸国に武器供給を思いとどまらせている。
ポーランドは先ごろ、保有するミグ29戦闘機全機をドイツにある米空軍のラムシュタイン空軍基地に引き渡し、ロシアと戦うウクライナにそれを供給する提案をした。
だが、米政権はすぐにこの考えを「支持できない」と表明。国防総省のカービー報道官はその理由として、「米国やNATOの基地から、ロシアが制空権を争うウクライナの空域に戦闘機を空輸することは、NATOの同盟全体に深刻な懸念を生じさせる」と語った。
ウクライナが自国を防衛する様子を見守る人々の楽観主義が大きな障壁に当たるのはここだ。米国は追加の8億ドル相当の安全保障支援を約束しているが、西側が直接関与を避けているため、防衛の最も厳しい仕事はウクライナ人だけに任されることになる。
テラス氏は「我々はウクライナ人が利用の訓練を受けている、地上や空中の防衛力を提供しなければならない。ソビエト時代の飛行機を引き渡す検討が必要だ。ウクライナが自国の防衛に使える、完全に適した戦闘機が欧州中にある」と語る。
西側の支援国がこの種の装備品をどれほど供給するのかは、政治にかかっている。ウクライナがどれほど確実に領空を防衛できるかは、西側の同盟にどこまでその意思があるかにかかっている。プーチン氏が犠牲の多い戦争をどれほど長い間正当化できるかは、ウクライナが確実に領空を守れる期間の長さで決まってくる。
ウクライナ軍はロシア軍の猛攻撃に反抗し、際立った成果をあげてきた。だが戦闘が長引くにつれて、国を守る者の運命は他国の手と忍耐力に委ねられることになる。
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本稿はCNNのルーク・マクギー記者の分析記事です。