地中海の港、ロシア商船の入港拒否 ウクライナから盗んだ穀物積載か
しかしウクライナは先手を打っていた。当局者によると、エジプトは穀物が盗まれたものだとの連絡を受け、同船を入港させなかった。同船はレバノンの首都ベイルートに向かったが、結果は同じだった。
同船は今月5日に再びトランスポンダーのスイッチを切ったが、タンカー追跡サイトなどがとらえた画像は、同船がシリアのラタキア港に向かったことを示していた。
シリアの政権はロシアとの関係が深く、ロシア軍は頻繁にラタキアに駐留している。マトロス・ポジニッチの船名は、15年にシリアで死亡した兵士の名に由来する。
海運情報サイトの編集長は、同船の穀物は出所を偽るため、ラタキアで別の船に積み替えられた可能性があると語った。
国防省情報局は10日、ウクライナの穀物の不正輸出について「ウクライナから盗まれた穀物の大部分は、地中海を航行するロシア船籍の船舶に積まれている」と述べ、「積み荷はシリアへ向かう公算が大きい。穀物はそこから中東の国々へ密輸できる」との見方を示していた。
海運データによると、マトロス・ポジニッチは、クレーン・マリン・コントラクター社(本社ロシア・アストラハン)に登録された貨物船3隻のうちの1隻。同社は各国の制裁の対象にはなっていない。
ウクライナ国防省は、ロシア軍の侵攻開始以来、少なくとも40万トンの穀物が盗まれ、ウクライナ国外へ持ち去られたと推計している。