ロシアの炭鉱、メタンを大量放出 世界最大規模 人工衛星で観測
(CNN) ロシア南部ケメロボ州にあるラスパドスカヤ炭鉱から、温室効果ガスのメタンが大量に放出されている。宇宙から人工衛星を使ってメタン放出を監視しているGHGSatが明らかにした。1つの施設からのメタン放出量としては世界最大の規模になるとしている。
GHGSatによると、ラスパドスカヤ炭鉱からは1時間に90トン近いメタンが放出されている。今年1月14日に衛星が上空を通過した際は、メタンの煙13本を検知。立ち上る煙の数はその後さらに増えていた。
同社創業者のステファン・ジェルマン社長はCNNの取材に対し、1月14日の大量放出はこの日だけの出来事ではなく、同炭鉱からは過去5カ月を通して継続的にメタン放出が検知されていると語った。
「大量放出は世界的な現象だが、これは突出している」と同氏は述べ、これまでに観測され、出所が突き止められた放出の中では最大規模になると言い添えた。
もしこのままのペースで放出が続いた場合、年間のメタン放出量は76万4000トンを超えると同社は推測。これは240万世帯に1年間電力を供給するために必要な天然ガスの量に匹敵する。
CNNは炭鉱を運営するラスパドスカヤ社にコメントを求めたが、返答はなかった
地球温暖化の原因となる温室効果ガスのうち、メタンは二酸化炭素(CO2)に次いで多い。
メタンは無臭で目に見えないことから検出が難しい。GHGSatは高解像度の分光計を搭載した衛星6基を使ってメタンを可視化し、放出源を特定している。
GHGSatによると、炭鉱からのメタン放出は、過去1年の間に中国やロシア、米国、オーストラリアなど世界中で急増している。