ウクライナ、ロシア船の出港許可に反発 窃取容疑の穀物積む
(CNN) ウクライナ外務省は10日までに、同国から奪われた疑いがある穀物を積載したロシア貨物船の出港をトルコが認めたことは容認出来ないと反発する声明を発表した。
トルコ側は同船の差し押さえや貨物の押収を求める要請を無視し、今月6日の出港を許可したと主張。ウクライナ側は声明で深い失望を表明し、トルコに調査を開始するよう緊急に要請した。その上でウクライナの関連当局による要請への全面的な対応を促しもした。
トルコの駐ウクライナ大使も呼び、しかるべき説明を求めたともした。
このロシアの商船は「ジベク・ジョリ」で、ロシアが占領したウクライナの港で穀物を積み、トルコのカラス港へ向かったとされる。
ロシア国営のタス通信によると、トルコ沖に停留していた同船は遊休時間や貯蔵船への穀物の移送を理由に出航を計画。積み替えを受けた大型の貯蔵船がその後、港へ向かい、荷物を下ろす予定とした。
船舶の動向監視データによると、ジベク・ジョリによる位置などを知らせるトランスポンダー信号の発信も最近のカラス港沖での停留では活発でなかったという。衛星画像の分析で、ロシア船舶は黒海で他の船舶へ貨物を移す作業を頻繁に実施していた。
ウクライナの駐トルコ大使はCNNの取材に以前、ジベク・ジョリはカラス港近くに停泊し、「トルコの税関当局が実質的に拿捕(だほ)し、入港が許可されていない」状態にあると主張していた。
ウクライナでは、ロシアによる黒海などの長期封鎖によって穀物の輸出が停滞。世界的な食糧危機も懸念され、ウクライナと支援国はロシアは食糧を戦争の武器として用いているとも非難している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は最近、輸出妨害が続いた場合、最大で6000万トンの穀物が今秋までに同国内に滞留する可能性があると警告していた。
ロシアはウクライナの港湾封じ込めや穀物の盗みは再三否定している。