バイデン政権はイスラエルと独立したパレスチナ国家が平和的に共存する「2国家解決」を支持しているが、実現に向けた動きはほとんどなく、ネタニヤフ氏とパレスチナ側の指導者らからも前向きな取り組みがほぼ見られないのが現状だ。
専門家らによれば、アブラハム合意にもパレスチナに対するイスラエルの姿勢を和らげる効果はほとんどなかった。パレスチナ側にどのような譲歩をする用意があるかと問われたネタニヤフ氏は、自治に必要なあらゆる権力を認める考えを表明しながらも、イスラエルに脅威をもたらし得る権力は一切認めないと強調。従って最も重要な安全保障上の責任はイスラエルに帰するべきだとの認識を示した。
米国はイスラエルによるパレスチナ人の土地への入植拡大で和平への展望が失われると懸念するが、それに関する質問にもネタニヤフ氏は「全く同意しない」と答えた。
一方、ロシアによるウクライナ侵攻以降、イスラエルはロシア政府との間でバランス外交を展開している。公式には侵攻を非難し、ウクライナに向けて定期的に支援物資を送っているものの、イスラエルはいまだにウクライナへの武器の供与に踏み切っていない。またロシアへの批判を強めていないことに対する反発も受けている。
イスラエルは隣国シリアの標的に向けて空爆を行う中で、ロシアを刺激するのを避けたい立場だ。近年で数百回実施している空爆は、イランからレバノンの武装組織ヒズボラへの武器供給の阻止を主要な目的としている。こうした空爆を実施するためには、2015年からシリア内戦に関与しているロシア政府の暗黙の承認が必要となる。
ネタニヤフ氏はインタビューでこのような複雑なシナリオに言及。イランにおける特定の武器の開発に対し、イスラエルは行動を起こしていると付け加えた。ただ週末にかけ、イランのイスファハンにある軍事工場を狙って実施されたドローン(無人機)攻撃にイスラエルが関与したのかどうかについては、確認も否定もしなかった。