「基本的に我々はロシアの味方だ。我々にとって、ウクライナはいわゆる裏切り者だ。西側に寝返っている」。かつてANCの軍事部門に所属していたオベイ・マベナ氏は、昨年CNNとのインタビューでこう語った。
マベナ氏は南ア政府やANCの代表者ではないものの、同氏の感情と同調するANCの忠実な支持者は少なくないとみられる。
同世代の人々と同様、マベナ氏もアパルトヘイト(人種隔離)時代の1970年代に警察の弾圧を逃れて南アから亡命した。南アの若者の多くが、亡命中にANCや「汎アフリカ会議」といった解放運動の軍事部門に加わった。
他のアフリカ諸国に設置された訓練所には、しばしばソ連の顧問の姿があった。
「旧ソ連圏のように、我々に必要なもの全てを与えようとする国があることを知った。食べ物や制服を与え、訓練と武器を供与してくれた」とマベナ氏は言う。「自分たちを同等に扱ってくれる白人に出会ったのは初めてだった」
解放運動の戦士や政治家は、西側諸国との関係でまったく異なる経験を味わっている。米国からは、80年代中期の包括的経済制裁という形のサポートしかなかった。その時すでに、アパルトヘイト政権が権力の座に就いて数十年が経過していた。
反アパルトヘイトの活動家で、南ア初の黒人大統領となったネルソン・マンデラ氏は2008年までテロ監視リストに名前が挙がっていた。これは冷戦時代の名残だ。ANCのメンバーの多くは、米中央情報局(CIA)がマンデラ氏の逮捕に関与していたと信じているが、真偽は証明されていない。
当然ながら、大勢のANC幹部がソ連時代のウクライナで教育や訓練を受けた。
反アパルトヘイト運動は米国内にも強力な味方がいた。米国議会では当時上院議員だったジョー・バイデン氏が、南ア白人政府を支持したロナルド・レーガン政権の国務長官を厳しく非難した。
武力ではなく交渉を
近年、南アとロシアの関係はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア5カ国の経済外交パートナーシップ)の形成でますます深まるばかりだ。
合同海上演習から離脱すれば、ロシアを侮辱するだけでなく、もっと重要な経済パートナーである中国の顔にも泥を塗ることになる。中国国防省は19日の声明で海軍演習への参加を確認し、演習がBRICS諸国の防衛と協力の促進につながるとの認識を示した。