南アフリカ・ヨハネスブルク(CNN) ウラジーミル・プーチン大統領の残忍なウクライナ侵攻から1年という節目が近づく中、ロシア最強クラスの兵器を積んだ軍艦が先週末、南アフリカ東海岸の港に入港した。
フリゲート艦「アドミラル・ゴルシコフ」(プーチン氏によれば、極超音速ミサイル「ツィルコン」を搭載している)の黒ずんだ煙突には、1年前ウクライナに入ったロシアの戦車や火砲と同様、白い「Z」と「V」の文字が雑に描かれている。
ロシア艦はインド洋で、南アおよび中国の軍艦と10日間の合同海上演習に参加する。南アによれば、演習は前々から予定されていたという。
だが西側諸国の外交関係者は、このタイミングで軍事演習が行われたことに内心怒り、公に批判した。南アフリカ政府にとっては、反発を招いて面目を失う危険性がある。
「このタイミングでの軍事演習は特に残念だ。戦争が節目を迎える中、世界の関心が南アに向けられてしまう。西側諸国はこれを見過ごすことはないだろう」と言うのは、南ア国際関係研究所でアフリカ政治外交プログラムを率いるスティーブン・グルズ氏だ。
「平和な国に軍事攻撃を仕掛け、破壊し、ウクライナ国家を根絶しようとする国(攻撃者、侵略者と言ってもいい)との軍事演習を南アが受け入れている状況は、非常に気がかりだ」。ウクライナのリュボウ・アブラビトバ駐南ア大使もこう述べた。
現実政治だけで考えれば、ロシアを締め出すか、少なくとも合同海上演習を延期する方が賢明な選択かもしれない。
有力なウクライナ支援国である米国や欧州連合(EU)諸国は、南アにとっても重要な貿易相手国だ。
南アの対EU、対米相互貿易は、ロシアとの経済関係をはるかにしのぐ。ロシアはさらなる貿易協定を約束するが、困窮したロシア経済が南アの望む直接投資をもたらす可能性は低い。
南ア当局者は、近年フランス軍や米軍とも軍事演習を行ってきたと強調している。
冷戦時代の盟友
だが南アで政権を握る「アフリカ民族会議(ANC)」とロシア政府の絆(きずな)は深く、そう簡単に破ることはできない。