移民船が難破、59人死亡 子どもや女性も犠牲に イタリア沖
(CNN) イタリア南部カラブリア州沖で移民を乗せた木造船が難破し、イタリア当局によると、乳幼児や女性を含む少なくとも59人が死亡した。悪天候の影響で捜索救助活動は難航しており、犠牲者がさらに増える可能性もある。
イタリア当局によると、同船は地中海を航行中に座礁して船体がバラバラになり、現地時間の26日午前4時40分ごろ、カラブリア州ステッカート・ディ・クトロ付近の海岸に、最初の3人の遺体が打ち上げられた。
ロイター通信によると、同船は140~150人を乗せ、トルコ西部イズミルを3~4日前に出航していた。
イタリアの消防によると、約80人は船の破片にしがみついていたところを救助された。救助されたのはイラン、パキスタン、アフガニスタン国籍の乗船者だった。
イタリアのメローニ首相は「全長わずか20メートルのボートに200人を乗せ、悪天候の中で出航させるのは犯罪だ」と人身売買業者を非難。「安全な旅ができると偽って、男性、女性、子どもたちの命をチケット代金と引き換えにすることは人道に反する」と強調した。
メローニ首相率いる右派政権は、移民船の阻止を優先課題に掲げる。このほど議会を通過した新法では、NGOが救助活動を行うことが難しくなる。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計によると、今年に入って海路でイタリアにたどり着いた1万1874人のうち、678人はカラブリア州に到着していた。
移民船の大部分はリビアから出航しており、ほとんどの場合、中東やアジアよりもアフリカから来る人の方が多い。
特に死者が多いのは地中海中部を経由するルートで、国際移住機関(IOM)の行方不明移民プロジェクトによると、2014年以来、少なくとも2万334人が命を落とした。