南国の楽園でトラブル、戦禍を逃れてきたロシア人とウクライナ人にバリ島も我慢の限界
「美しいし、ロシア兵はいない」
ビザの規制が変わるかもしれないというニュースに、島内のウクライナ人の一部は驚いている。その多くは戦争勃発とともに祖国を離れ、貯金で生活しながら、規制に違反しないよう60日ごとに出国と再入国を繰り返している。
「バリはいいところだ」と、ディミトリという名のウクライナ人は語った。「美しいし、天気も最高、ウクライナ人にとって安全な場所だ。ロシア人の集団がいたとしても、ロシア兵は一人もいない」
島内のウクライナ人は緊密なコミュニティーを形成し、ロシア人からは距離を置いている。ディミトリさんはビザ撤廃の可能性にみな驚いていると述べた。
「ウクライナ人はバリの法律や文化を尊重している。地元社会に貢献し、バリの人々に危害を加えるようなことはしていない」とディミトリさん。「ウクライナではバリについてたくさん質問される。多くの人々が来たがっている」
「ウクライナ人がロシア人と同じ(部類)にくくられるのは残念だ。バリの観光客で2番目に多いのがロシア人だ。ニュースを読めば、ロシア人が頻繁に地元の法律を破り、バリの文化や伝統を蔑ろにしているのがよく分かる」(ディミトリさん)
「バリで問題を起こしているのはウクライナ人じゃないのに、なぜ自分たちがとばっちりを受けなければならないのか」(ディミトリさん)
在バリ州ウクライナ名誉領事館はCNNに声明で、23年2月現在バリ島には8500人前後のウクライナ人が滞在しており、それぞれ短期滞在ビザや永住ビザを取得していると述べた。
「祖国が侵攻に遭っている今現在、ウクライナ人は休暇でバリに来ているわけではない。ウクライナ人がバリに来ているのは家族との再会(が理由)で、大半が女性だ」と、広報担当者のニョマン・アスタマ氏は語った。
アスタマ氏は「重ねて言うが、バリ在住のウクライナ人は法律や規制の違反を望んでいない。バリの人々が声を上げているように、法律を施行し、違反した者にはしかるべき措置を講じることが必要不可欠だ」と述べた。
とはいえ、中央政府はバリ当局の要請を認めるかどうか決定を下していない。少なくとも当面は、到着ビザを希望するウクライナとロシアの両国民も一安心だろう。
インドネシアのサンディアガ・ウノ観光相は13日、地元報道陣に、「関係各位と詳細を協議する予定だ」と語った。