公判前勾留で被告を17年拘束、人権裁判所が補償を命令 メキシコ
(CNN) 米州人権裁判所はメキシコ政府に対し、殺人罪で起訴された被告2人の人権を侵害したとする判断を下した。2人は公判前勾留として17年以上拘束されていた。
同裁判所は12日、メキシコ政府の責任に帰する問題として個人の保全と自由に対する権利の侵害、裁判の保証に関する権利や法の前の平等、司法による保護を受ける権利への侵害を挙げた。
また当該の2人については、拘束されている間に拷問も受けていたとした。
2人は2002年に逮捕され、17年間の公判前勾留を経て殺人の罪で判決を言い渡された。罪状は01年の自治体議員の殺害だったが、2人は07年に米州人権裁判所への申し立てを行っていた。
今年の3月19日、2人による直近の控訴の後、メキシコの裁判所は被告の1人に無罪の判決を通知した。しかしもう1人に対する判決は禁錮35年のままとした。地元紙によれば、当該の被告はこの判決を「不公平で証拠もない」ものと見なしている。
米州人権裁判所はメキシコ政府に対し、埋め合わせとして一連の補償措置を講じるよう命令。そこには物質的及び非物質的な損害への支払いも含まれる。また国内の司法手続きを国際標準に適応させることも求めた。
判断に従う期間として同裁判所がメキシコ政府に提示した期限は1年間。
メキシコ政府は、米州人権裁判所の決定を今後分析し、その内容に従う考えを表明。米州人権条約に盛り込まれた義務を間違いなく最大限に尊重する方針を示唆した。
また今回の宣告が、同国の行動指針としての役割を果たすことになるとも指摘。拘束され、裁判に臨む人々の権利がこれによって保護されるとの見方を示した。