ワシントン(CNN) ウクライナが養成した工作員と同調者のネットワークが、ロシア国内にある標的に対して破壊工作を行っているとの見方が浮上した。ウクライナはこの工作員らに、攻撃を実施するためのドローン(無人機)も提供しているという。この問題に関する米国の諜報(ちょうほう)に詳しい多くの人々がCNNに明らかにした。
米国の当局者らは、ロシア国内にいるこれらの親ウクライナの工作員が先月初めにクレムリン(ロシア大統領府)を狙ったドローン攻撃を行ったとみている。攻撃に使用したドローンはロシア国内で飛ばされており、ウクライナからモスクワへ飛行したものではなかった。
モスクワ近郊の住宅街やロシア南部の製油所を標的にしたこの数日のドローン攻撃については、同じくロシア国内で飛ばされたものなのか、また当該の親ウクライナ派の工作員ネットワークが実行しているのかどうか判然としない。
しかし米当局者らは、ウクライナが工作員の組織を複数ロシア国内で展開していると考えている。これらの組織には、ウクライナへの同調者とこの種の戦争に熟達した工作員が混在しているという。ウクライナは組織のメンバーに対し、自国製のドローンを供給しているとみられる。
米当局者2人はCNNの取材に答え、いずれのドローン攻撃においても米国が供与したドローンが使用された証拠はないと述べた。
ウクライナがどのようにして敵陣の向こうへドローンを持ち込めたのかについて、当局者らは結論を得られていない。ただ情報筋のうち2人はCNNに対し、ウクライナが既に密かな供給ルートを構築し、それを盛んに使用してドローンもしくはドローンの部品をロシア国内へ送っていると分析。これらの部品はロシア入りした後で組み立てられるとした。
欧州の情報当局者1人はロシアとウクライナの国境について、広大であり管理が極めて困難だと指摘する。これがドローンの密かな持ち込みに適した状況を作り出しているという。
ドローンや輸送ルートを管轄する主体を巡り、米当局者らはウクライナの情報機関の一部が関与しているとの見方を示す。これらの情報機関や保安要員の行動はウクライナのゼレンスキー大統領が発する全般的な指針の下で許可されるが、全ての作戦行動に同大統領の承認が必要なわけではないという。情報筋のうち2人が明らかにした。