穀物輸出協定、輸送の確保に「失敗」 プーチン氏
(CNN) ロシアのプーチン大統領は、世界的な食料価格の安定と発展途上国の救済を目的とした黒海からの穀物輸出に関する協定からロシアが離脱したことについて、穀物の輸送が「失敗」したためだと述べた。
穀物輸出に関する協定は1年前に締結された。ウクライナは協定によって、ロシアによる黒海の港湾封鎖を回避し、トルコのボスポラス海峡までの安全な航路を通じて、世界市場に穀物を輸出できるようになった。
船舶はウクライナに到着する前に、ロシアとウクライナ、トルコの当局者による検査を受け、武器をウクライナに密輸していないことが確認された。
ロシアは協定からの離脱後、ウクライナの重要な穀物輸出の港湾都市であるオデーサを継続的に攻撃している。
週内に開催されるロシア・アフリカ首脳会議に先立ちクレムリン(ロシア大統領府)のウェブサイトで公開された論説の中で、プーチン氏は、ロシアがウクライナ産穀物の不足分を補えると主張した。
プーチン氏は「今年もまた記録的な収穫が予想されていることから、ロシアが商業上でも無償でも、ウクライナ産穀物の代替となり得るということを保証したい」と述べた。
プーチン氏は「制裁にもかかわらず、ロシアはアフリカに穀物や食料品、肥料などを精力的に供給し続ける」と述べた。
プーチン氏は、穀物輸出の協定について、米国や欧州の大企業を豊かにするために使われたと主張。必要としている国々に対して肥料を供給しようとするロシアの取り組みに障壁が築かれたとし、こうした取り組みについては、いかなる制裁も免除されるべきだと述べた。
プーチン氏は「これらのすべての事実を考慮すると、本来の人道的な目的を果たせていないことから、『穀物協定』を継続することに、もはや何の意味もない」と結論付けた。
欧州委員会によれば、世界の小麦市場に占めるウクライナの割合は10%。トウモロコシ市場では15%、大麦市場では13%を占める。
国連によれば、ロシアの離脱前には、ウクライナの港から協定を通じて約3300万トンの食糧が輸出されていた。