クリミアを捨てるロシア人観光客、人気行楽地に迫る戦争
「クリミアなしのウクライナは想像できず」
ウクライナ政府によると、併合後にクリミアから国内の他地域に避難した人は5万人を超える。ただ、すべての人が政府に正式に届け出ているわけではないため、クリミアの非政府組織(NGO)は避難民の人数はその2倍に上る可能性があると見積もっている。
併合前、クリミアには約250万人が暮らしていた。
避難した住民の多くは財産を没収され、ロシア当局によって競売に掛けられた。当局によると、競売の収益はロシア軍の懐に入るという。クリミア自治共和国議会のコンスタンティノフ議長によると、他地域に住むウクライナ人の別荘(ヤルタにあるゼレンスキー大統領のアパートを含む)もロシアによって国有化された。
スビトラーナさんはCNNの取材に、ロシア当局によって押収された財産の一部はロシア人住民や、ウクライナ南部のロシア支配地域から来た人に譲渡されたと明らかにした。
ウクライナ政府を支持する住民は過酷な管理を受ける。人権団体は活動家や政治家、公人、住民が拉致され、親ロシア当局に拘束された事例を記録している。
クリミアに残るウクライナ人住民はロシア国籍の申請を強制され、人権団体によると、拒否した住民は迫害を受けているという。
CNNの取材に応じたウクライナ人住民は、まん延する恐怖感について確認した。この住民は身の安全への不安から匿名を希望し、発言を掲載しないよう求めた。
ゼレンスキー大統領を含むウクライナの当局者は、クリミアを奪還するまで戦争は終わらないと繰り返し強調してきた。
併合前のクリミアにはウクライナの人口の約5%が暮らし、国内総生産(GDP)に占める割合も4%近かった。「クリミアなしのウクライナは想像できない。クリミアがロシアの占領下に入っている間、それが意味することはただ一つ。戦争はまだ終わらないということだ」。ゼレンスキー氏はCNNの7月のインタビューにこう語っている。