「試しにやってみよう」、ウクライナへ逃亡したロシア軍ヘリのパイロットが当時の心境振り返る
(CNN) 先月ウクライナへ逃れてきたロシア軍のヘリコプターのパイロットが、Mi8戦闘ヘリに乗って国境を越えるという大胆な行動の詳細を明らかにした。ウクライナ国防省の情報総局が4日に公表したインタビューで語った。
ウクライナ当局がマキシム・クズミノフと呼ぶこのパイロットはインタビューに答え、国外脱出を計画した経緯と、そうしなければならないと感じた理由を説明した。
「ウクライナの諜報(ちょうほう)機関の代表者に連絡を取り、こちらの状況を説明した。向こうが提示した選択肢はこうだった。『来ればいい。身の安全も新しい書類も保証する。金銭的な補償も受け合う。つまり報酬だ』」と、このパイロットは語った。
ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長は8月、当局者らがどのようにしてパイロットの脱出を支援したか明らかにしていた。
同氏はラジオ局のインタビューに答え、「我々の作り出した状況により、彼の家族は全員気付かれずに国外へ脱出できた。最終的に本人が機体を使用する状況も作り出せた。事情を知らない乗組員も一緒だったが」と述べた。
「他に2人の同乗者がいた。計3人の乗組員がいたことになる。どこに着陸したか気付いて逃げようとしたため、残念ながら彼らは排除された。我々としては彼らを生かして(捕らえて)おきたかったが、やむを得なかった」(ブダノフ氏)
4日公開のインタビューの中で、パイロットは飛行中「国境の近くにいると分かって、位置を伝えた。『試しにやってみよう。それほど遠くにはいない』。そう言って、最後の決断を下した。高度を極端に下げ、無線封止をした。同乗者は何が起きているのか全く分かっていなかった」と述べた。
パイロットによると、この後機体をウクライナに着陸させ、同国の当局者に会ったという。
インタビューの状況は不明だが、パイロットは自由に発言しているとみられる。