国連、ナゴルノ・カラバフに使節団派遣へ 避難民10万人に迫る
(CNN) 国連は今週末、係争地ナゴルノ・カラバフに約30年ぶりに使節団を派遣する。報道によれば、ナゴルノ・カラバフからは既に人口の8割近くが避難した。
アルメニア系住民が実効支配していたナゴルノ・カラバフでは先週、アゼルバイジャンが「対テロ作戦」を実施。24時間の電撃戦で少なくとも200人が死亡、400人が負傷した。
ナゴルノ・カラバフは国際的にはアゼルバイジャン領と見なされているが、数十年にわたりアルメニア系分離主義勢力の支配下に入っていた。ロシアの仲介で停戦が成立したものの、地域やそこに住む住民の将来をめぐる懸念は残っている。
アゼルバイジャンの先週の勝利はアルメニア系住民の集団脱出を引き起こし、数十年に及んだ紛争は終結した。ナゴルノ・カラバフの首長は敗北後、国家機関の解体を命じる文書に署名しており、数百年続いたアルメニア人の居住にも終止符が打たれる可能性がある。
アルメニア国営メディアは首相報道官の話として、29日午後6時の時点で9万8000人近くがナゴルノ・カラバフを離れアルメニアに向かったと伝えた。
これは推定12万人いるアルメニア系住民の8割に相当する。
国連のデュジャリック報道官は29日の記者会見で、使節団の派遣についてはアゼルバイジャン側も合意していると説明し、今週末に派遣を実施すると明らかにした。
報道官は「我々がナゴルノ・カラバフに入るのは約30年ぶりになる。従って入境できることが重要だ」と指摘。「滞在中、国連チームは現地の状況を見極め、残留者と移動中の人の両方の人道ニーズを把握する」としている。
住民の流出を受け、アルメニア当局は国連司法裁判所に対し、アゼルバイジャンに軍の撤退を求めるよう要請。アゼルバイジャン側による「制裁行動」に懸念を示した。