ガザにいる妊婦は5万人、医療崩壊の「悪夢」 出産は毎日とも
(CNN) 国連人口基金(UNFPA)のパレスチナ担当代表は19日までに、イスラエル軍の空爆などを受け続けるパレスチナ自治区ガザ地区には妊娠中の女性が約5万人おり、地元の医療態勢が崩壊寸前にある最悪の環境にあえいでいると警告した。
アレン代表はCNNとの会見で、頼るべき場所もないこれら女性の身を案じているとし、想像もできない試練に直面していると嘆いた。5万人のうちの約5000人は1カ月内の出産を予定しているとし、一部は合併症に襲われる恐れがあるとした。
「衣類も衛生対策も不足している中で、出産を間近に控えている境遇を考えて欲しい」と強調。「彼女たちは翌日、次の1時間や次の1分に自身やまだ見ぬ自分の赤ちゃんにどのような事態が起きるのか見当もつかない窮境に追い込まれている」と訴えた。
病院が直面している状況は悲惨とも指摘。ガザにある産婦人科病院の助産師から聞いた話として、軍事衝突が始まって以降、一部の助産師は職場の環境が安全でないため手当てを施すために病棟に近づくことすらできないという。
人道上の救済のための回廊が設けられ、人道法の順守が必要な段階にあると強く求めた。
一方、世界保健機関(WHO)は17日、ガザでは妊婦約8万4000人の健康管理が危機にさらされ、必要な医療物資を届けられない苦境にあると主張した。
WHOの報道担当者は、分娩(ぶんべん)は毎日多く起きているとし、「爆撃に関係なく赤ちゃんは生まれてくる。生まれる時に生まれる」と説いた。ガザの複数の病院は空爆などで運営が不可能な状態になっており、病院への攻撃回数は44回に達したとも報告した。