ハマスの大虐殺で心に傷を負った労働者、人質の生還を待つ家族 タイ

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空港で再会を喜ぶタイ人の家族=12日、タイ首都バンコク/Lillian Suwanrumpha/AFP/Getty Images

空港で再会を喜ぶタイ人の家族=12日、タイ首都バンコク/Lillian Suwanrumpha/AFP/Getty Images

パレスチナの人々は一夜のうちにこれまででもっとも激しい集中爆撃を受け、空爆を逃れるため病院に駆けこんだ。通信網が断たれているため救命活動は支障をきたし、家族と連絡を取ることもできない。通信網の一部は先月29日午前に復旧したばかりだ。

境界のイスラエル側では、ハマスに襲われたキブツの多くで砲弾の音が鳴り響いている。今回は人口が密集したガザ地区に向けて発射された戦車や榴弾(りゅうだん)砲の音だ。

タイ人労働者にとっては「よくあること」と支援グループ

タイ政府はガザ地区にとらわれているタイ国民全員の解放を訴えている。CNNが入手したタイ当局のデータによると、タイ人の死者数はこれまでに少なくとも33人、先月26日の時点で18人が人質に取られている。

「タイ国民も含め、残る人質の一刻も早い釈放を改めて強く要請する」。タイのパーンプリー・パヒターヌコーン副首相はこう述べ、誘拐や殺害された人々の大半が出稼ぎに来ていた農業労働者で、「紛争とは何の関係もない」と付け加えた。

イスラエルで働く多くのタイ人労働者と同じく、クンウォンさんもタイ最貧地域のひとつウドーンターニーの出身だ。ここでの生活はバンコク市内で目にするエアコンの効いたショッピングモールや交通渋滞とは程遠い。仕事になかなかありつけず、賃金もはるかに低いため、大勢が職を求めて故郷からはるか遠くの場所に向かう。

CNNの取材に応じた労働者の家族によると、タイ人労働者はイスラエルでの戦争が起きているにもかかわらず、契約書に定められた5年間の最低勤務期間を守るよう圧力を受けているという。故郷の家族を養うために強いられる重い代償だ。

「農業労働者支援(AAW)」をはじめとする外国人出稼ぎ労働者の支援グループは、多くの労働者が経験している「過酷な状況」に触れ、イスラエルでは「よくあること」だと語った。

AAWのゾハ・シュワルツバーク氏によると、ハマスの奇襲が行われる前の月にあたる9月分の給料を受け取りたければ元の職場に戻るよう圧力をかけられている労働者の報告が増加しているという。

「農家や農業共同体が悩まされている人手不足の問題には同情するが、危険を感じる環境にとどまるよう強制されるようなことがあってはならない」とシュワルツバーグ氏は言う。救助便を連日運航するという在テルアビブ・タイ大使館の発表を受け、「非道徳的で違法な手段を使ってでも、タイ人労働者をこのまま働かせようとする圧力が高まる恐れがある」と同氏は続けた。

クンウォンさんは運よくイスラエルを出国し、ウドーンターニーで妻と娘に再会することができた。

別のタイ人労働者、マニー・ジラチャートさん(29)の家族はCNNの取材に応じ、いつか息子が安全に帰国してほしいという希望を繰り返し口にした。

マニーさんはイスラエル南部のガザ地区付近にある政府機関で清掃員として5年近く勤務していたが、ハマスの戦闘員に誘拐され、とらわれの身となった。

父親のチュンポーンさんはマニーさんの給料で建てることができた青い壁の家でCNNの取材に答え、涙ながらに訴えた。「言葉もない。息子に帰ってきてほしい。ただそれだけだ」

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