ハマスの捕虜から解放された9歳児、父親が娘の生還の様子を振り返る

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ハマスの拘束から解放された9歳娘との再会を振り返るトーマス・ハンドさん/CNN

ハマスの拘束から解放された9歳娘との再会を振り返るトーマス・ハンドさん/CNN

イスラエル・テルアビブ(CNN) エミリー・ハンドさん(9)は、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区を攻撃する際、イスラム組織ハマスによって強制的に移動させられ、家から家へと逃げ回らなければならなかった――。エミリーさんの父親のトーマス・ハンドさんが28日、CNNの取材に明らかにした。

「恐ろしいことだ。引っ張られ、引きずられ、押され。おそらく銃撃のなかで」

これは、10月7日に拉致されガザに連れていかれた後に何が起きたのかについて、エミリーさんが徐々に打ち明けている詳細のひとつだ。

「彼女が本当に経験したことは彼女が口を開くまでわからない」とトーマスさん。多くの情報を知りたいが、エミリーさんの準備が整うまで無理強いはしないという。

エミリーさんはハマスに捕らわれている間に9歳の誕生日を迎えた。エミリーさんは、友人のヒラ・ロテムショシャニさんとヒラさんの母親のラーヤさんとともに拘束されていた。

トーマスさんによれば、ラーヤさんがヒラさんとエミリーさんの面倒をみてくれた。2人とも自分の娘のように世話してくれたという。トーマスさんは、2人の少女が解放される2日前の夜にヒラさんが母親から引き離されたことについて、ハマスとイスラエルとの間の合意に反しており、「新たな残虐行為だ」と語った。

エミリーさんは、ハマスがキブツ・ベエリを襲撃した際、ヒラさんの家に泊まっていた。トーマスさんは自宅に何時間にもわたり閉じ込められ、エミリーさんに連絡を取ることができなかった。キブツ・ベエリでは約130人の住民が殺害されたほか、拘束されるものもいた。

トーマスさんは約2日後、キブツのリーダーからエミリーさんの遺体が発見されたと告げられた。トーマスさんはCNNに、「彼らはただ『エミリーを見つけた。彼女は死亡した』と告げた。わたしは『はい』と言った。わたしは『はい』と言った。そして、ほほえんだ。なぜなら、それが私が知っていた可能性の中で最も良い知らせだったから。死は祝福であり、絶対的な祝福だった」と語った。

しかし、約1カ月後、トーマスさんはイスラエル軍からエミリーさんが生きていてハマスの人質になっている可能性が高いと伝えられた。

トーマスさんによれば、イスラエル軍が情報の断片をつなぎ合わせた。キブツ・ベエリに残された遺体はいずれも、エミリーさんとは確認されなかった。エミリーさんが寝ていた家屋に血痕はなかった。ヒラさんの家族の携帯電話はガザまで追跡されていた。

トーマスさんは死は祝福だと感じていたが、それからはエミリーさんが拘束されている状況に恐怖を感じた。トーマスさんは、エミリーさんが拘束されている間、CNNの取材に対し、「分からないことはつらい。待つのはつらい」と語っていた。しかし、わずかな希望もあった。

最後にエミリーさんと会ってから8週間後、トーマスさんはイスラエルとハマスとの戦闘休止期間で解放される人質の第2陣のリストにエミリーさんが載っていると知らされた。

トーマスさんは興奮を抑えながら、解放された人質が移送された基地に到着した。長く待たされた後、エミリーさんが赤十字と一緒にいるとの連絡が入った。

「突然、ドアが開き、あの子がそのまま走ってきた」と語るトーマスさんは、「私はおそらくあの子を強く抱きしめすぎたかもしれない」と、再会の様子を捉えた象徴的な動画の中で「エムシュ」という愛称でエミリーさんを出迎えたときのことを振り返った。

他の人質と同じように、エミリーさんの体重も落ちていた。あんなに青ざめたエミリーさんをみたのは初めてだったという。

さらにトーマスさんが驚いたのは、エミリーさんが話しかけてきたときだ。

「あの子との再会で最も衝撃的で心をかき乱されたのは、ささやくだけで、声が聞こえなかったことだ。私はあの子の唇に耳を当てなければならなかった。あの子は一切音をたてないよう条件付けされていた」

イスラエル軍が公開した父娘の写真もそうした状況をうかがわせる。

「ガラスのような目にただ恐怖が見える」

しかし、トーマスさんは、引き渡しを終えてバンの中で携帯電話を差し出したとき、いつものエミリーさんの気配を感じた。

トーマスさんは「あの子が最初にしたことは、ビヨンセの曲をかけることだった」と振り返り、エミリーさんが微笑んで、再び笑い声をあげ始めたと語った。

エミリーさんは心を完全に閉ざしたわけではない。「昨晩、あの子は顔が赤く腫れるまで泣いた。泣きやむことができなくなった。慰められることを望んでいなかった。慰めてもらうことを忘れてしまったのかもしれない。あの子はベッドに潜り込み、布団をかぶって、静かに泣いた」

エミリーさんは触れられることを望まなかったので、トーマスさんは、エミリーさんの準備が整うまでただ待ち続けた。「あの子はとても決意の固い子で、とても強い。あの子の精神によって、これを乗り越えられると私はわかっていた」

トーマスさんによれば、エミリーさんとヒラさんは今、互いを気にかけている。ヒラさんの13回目の誕生日は27日にケーキとともに病院で祝った。エミリーさんにもケーキが届けられた。ガザで祝えなかった9回目の誕生日のぶんだ。

トーマスさんは今、二つのことに集中している。エミリーさんを元気にすること。そして、ラーヤさんを帰宅させ、他の人質全員を取り戻すために全力を尽くそうとしている。トーマスさんは、エミリーさんが行方不明になっている間に感じた支援がこれからもしっかりと残ることを願っている。

「ヒラさんのために、エミリーのために、正義のために、ラーヤさんを取り戻さなければならない」

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