COP28開幕、気候変動被害の救済基金を採択 米国の拠出額に批判も
(CNN) 国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が11月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開幕した。各国の代表者は、気候変動で生じた被害に充てる基金を正式に採択。気候危機で最も大きな損害を被った国々の救済に向け、巨額の資金を拠出することを複数の国が約束した。協議初日での採択を受け、化石燃料の削減といった難しい問題の議論により多くの時間が割けるようになった形だ。
しかし米国に対しては、基金への拠出額が「恥ずかしい」水準だとして批判の声が上がっている。米国が拠出を約束した資金はアラブ首長国連邦(UAE)の5分の1未満、欧州連合(EU)の14分の1となっている。
気候変動による損害への対応を念頭に途上国へ資金を融通する取り組みは、長年にわたってCOPで話し合われてきたものの進展が見られなかった。当該の基金の詳細は先月、COP前の会合で合意が成立し、30日に正式決定した。
COP28の会議の議長を務めるスルターン・ジャーベル氏は「我々は今日、歴史を作った。COPの初日で1つの決定が採択されるのは初めてのことだ」と述べた。基金に対して反対意見は上がらず、採択時にはスタンディングオベーションが起きた。
一部の国々は採択直後に基金への具体的な拠出額を発表した。COP28議長国のUAEは1億ドル(約147億円)。ドイツも同額の拠出を約束した。英国の発表した拠出額は6000万ポンド(約112億円)だが、そのうち一部は「他の調整」に使われるという。米国は1750万ドル、日本は1000万ドルをそれぞれ拠出すると約束した。
気候問題の専門家や活動団体は、概ね基金の成立を称賛しているが、同時にこれは気候危機の被害国を確実に支援するための最初の一歩に過ぎないと指摘。まだ道のりは長いとの見解を示した。
一方で米国の拠出額には批判が集中した。専門家などからは他国の公約に比べて「恥ずかしい」、また額の少なさが「際立っている」といった声が上がった。
非営利組織(NPO)の世界資源研究所で会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるアニ・ダスグプタ氏は、米国と日本の拠出額に「落胆した」と表明。「両国の経済規模を考慮すれば、他国より格段に少ない拠出額について全く言い訳はできない」と述べた。