ユダヤ教超正統派教徒の徴兵免除に抗議デモ、平等訴え イスラエル
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエルの主要都市テルアビブの街頭で16日までに、ユダヤ教超正統派の教徒が徴兵制の対象から除外されていることに抗議する数千人規模が参加するデモ活動があった。
イスラエル国旗を掲げたデモ隊は、「平等の実現なくして結束はない!」などと唱和して気勢を上げた。
イスラエルの社会で超正統派は長年、特別待遇を享受してきた。「イエシバ」と呼ばれるユダヤ教学院は政府から潤沢な補助金を得ている。若年層の教徒は建国期から、実質的に徴兵が免除されてきたという。
イスラエルの最高裁判所は1998年、長らく定着していたこの免除措置を問題視した。政府に対し兵役義務を課さないことは平等の原則に抵触するものだと諭してもいた。
その後の数十年にわたって歴代の政権や国会は問題の解決を試みたが、最高裁はこれらの努力についても違法と再三断じてきた。
ただ、除外措置の維持につながったこれまでの小手先の施策は近く時間切れの節目を迎えそうだ。2018年から続いてきた体面を取り繕うような法的措置が今月末に失効する予定となっている。
イスラエルの野党陣営を率いるラピド前首相は超正統派が徴兵制から除かれていることを長年批判。SNS上で、兵役の適齢期となった超正統派の若者約6万6000人が対象外となり、その一方で一般的な国民らが全面的な負担を引き受けることはあってはならないなどと主張している。
ただ、ネタニヤフ首相率いる連立政権の有力者たちは広範な政治的な支持がなければ首相による超正統派の免除措置の解消を支援しないとの立場を示した。地元のシンクタンク「イスラエル民主主義研究所」(IDI)の責任者は、場合によっては連立政権を崩壊させかねない重みを持つ極めて大きな問題とも説明した。
一方で超正統派の教徒は、宗教的な学習はユダヤ教の存続に根本的に必要と反論。イスラエルに住む教徒の多くにとってこの学習は、軍にとっての国防の努力と同様に重要なものだと強調している。