ウクライナのAI搭載型ドローン、ロシアのエネルギー産業を標的に
ウクライナ軍の攻撃を可能にしているのは、一段の長距離飛行が可能なドローンの存在だ。より先進的な機能を備えたこれらの機体の一部には、既に基礎的形態の人工知能(AI)さえも組み込まれ始めている。AIはドローンの操縦の支援に加え、電波的な妨害を回避するのにも役立つ。ウクライナのドローンプログラムに近い情報筋がCNNに明らかにした。
この情報筋によれば、電波妨害を仕掛けられながらもAIを駆使すれば正確な攻撃が可能になるという。個々のドローンが有するコンピューター端末には衛星データと地形に関するデータがインプットされている。飛行経路は事前に味方と共に確定しており、ドローンはその計画に従う。それにより、数メートル単位の正確さで標的を攻撃することができるという。
この精度を実現しているのがドローンに搭載されたセンサーだ。英シンクタンクの王立防衛安全保障研究所(RUSI)の調査アナリスト、ノア・シルビア氏によると、センサーには「マシーンビジョン」と呼ばれる一種のAIが組み込まれている。AIに対し、ドローンの飛行する地形や標的を識別する訓練を施すと、いかなる通信も必要とせず、完全に自律的な飛行が可能になるという。
元英軍将校でドローン戦とAIの専門家、クリス・リンカーンジョーンズ氏はCNNの取材に答え、「このレベルの自律性は以前のドローンには見られなかったものだが、我々は依然としてこうしたテクノロジーが持つ潜在能力の初期段階にいる」と指摘した。
CNNはウクライナ国防省情報総局と同国保安局(SBU)に連絡を取ったが、いずれもAI技術の使用についてはコメントを控えた。
複数の専門家がこうした攻撃について、現行の制裁措置よりもロシア経済に多大な打撃を与える可能性があると分析する。
ウクライナは現在ロシアの石油精製能力の12%が失われていると発表。ロイター通信は最大14%を喪失していると計算する。一方ロシアは一部の製油能力が低下したことを認め、ガソリンの輸出を一時停止することで国内での燃料価格の上昇を回避しようとしている。