国連事務総長、「気候地獄から抜け出す出口必要」　１２カ月連続で平均気温最高記録受け

（ＣＮＮ） 欧州連合（ＥＵ）の気候情報機関であるコペルニクス気候変動サービスは５日、世界の月間平均気温が２０２３年６月から２４年５月まで１２カ月連続で史上最高を記録したことを明らかにした。

コペルニクスの責任者は、人為的な気候変動を考えると、１２カ月連続の高温は「衝撃的だが意外ではない」と述べ、地球温暖化の原因となる化石燃料による汚染が大幅に削減されない限り、「この最も高温だった時期は比較的低温だった時期として振り返られるようになるだろう」と警告した。

国連のグテーレス事務総長は同日、米ニューヨークで気候変動についての演説を行い、化石燃料会社を「気候変動による混乱の元凶」と非難。すべての国に化石燃料製品の広告を禁止するよう初めて明確に求めた。

グテーレス氏は世界の指導者らに対し、悪化する気候危機を迅速に制御しなければ危険な転換点に直面することになると呼び掛け、「私たちは地球でロシアンルーレットをしている」「気候地獄へ向かう道から抜け出す出口が必要だ」と訴えた。

コペルニクスのデータによると、２３年７月以降の各月は、産業革命前の気温より少なくとも１．５度高かった。

過去１２カ月の世界平均気温は産業革命前の水準より１．６３度高かった。

各国は１５年のパリ協定で地球温暖化を産業革命前の水準から１．５度以内に抑えることに合意した。この目標は１カ月、１年ではなく数十年にわたる温暖化を指しているが、科学者らは今回の記録は警戒すべき兆候だと述べている。

このニュースは、米国西部が今夏初めての熱波に見舞われている中で報じられた。

インドでは気温が５０度を上回り、過去数週間で数十人が死亡した。東南アジアでは、酷暑により死者が出ているほか、学校閉鎖や作物の生育不良に見舞われている。メキシコでは気温が急上昇し、ホエザルが木から落ちて死んだ。

気温と海水温の上昇は、今年に入ってから米国、ブラジル、ケニア、アラブ首長国連邦（ＵＡＥ）などでみられている、より強力な豪雨や暴風も引き起こしている。

グテーレス氏は演説で世界気象機関（ＷＭＯ）が発表した新しいデータにも言及。２４年から２８年までの少なくとも１年間で、２３年に記録された年間最高気温を超える可能性は８６％近くあるという。