フーシ、兵器提供でシャバブに接近 イラン関与も懸念 米諜報

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イエメンでフーシの訓練を受けた人々が銃とパレスチナの旗を掲げる=昨年12月/Mohammed Hamoud/Getty Images/File

イエメンでフーシの訓練を受けた人々が銃とパレスチナの旗を掲げる=昨年12月/Mohammed Hamoud/Getty Images/File

(CNN) 米情報機関は22日までに、中東イエメンに拠点がある反政府武装組織「フーシ」がアフリカ東部ソマリアに勢力を持つイスラム過激派「シャバブ」に接触し、兵器提供を持ちかけている情報を把握した。

米政府当局者の3人が明らかにした。フーシがシャバブへ兵器を実際に送り届けたとの証拠収集に動いているとした。フーシに軍事や資金援助面で肩入れするイランがシャバブへの武器支援に絡んでいるのかの事実確認も進めている。

現時点でフーシが届けようとしている兵器の種類は不明。シャバブがソマリア軍との戦闘で使ってきた武器はこれまでロケット弾、迫撃砲や簡易爆弾。比較的、小型兵器となっているが、フーシは逆に海上無人艇を含むドローン(無人機)や短距離弾道ミサイルも駆使している。シャバブへより大型な兵器を差し出す恐れもあるとした。

これが現実となった場合、それでなくても不安定なアフリカ東部情勢などが一層、混迷の度合いを深めるとの懸念も生じている。

バイデン米政権高官によると、アフリカ東部諸国、特に紅海周辺諸国に対して米国はここ数週間、フーシ、シャバブの潜在的な共闘態勢の実現について警鐘を鳴らしていた。関係諸国も事態の重大さを認識し、米国に一層の情報提供などを求めたという。

両組織間の接近は従来、確認されていなかった。フーシはイスラム教シーア派であり、スンニ派系であるシャバブは長年、シーア派に反発するというイスラム思想上の対立点があった。ただ、両組織の活動拠点は戦略的な要衝でもあるアデン湾を隔てているだけの地理的な近さへの懸念も無視できないでいた。

米諜報(ちょうほう)はこの2組織が双方にとっては利益となる戦術上の歩み寄りを便宜的に狙い、手を結ぶ可能性を危惧。そうなった場合、米国が国際テロ組織「アルカイダ」系ともされるシャバブ掃討作戦を進めるソマリアや紅海、アデン湾の治安情勢がさらにこじれかねないとの不安もある。

シャバブへの武器引き渡しに踏み込んだ場合、フーシが新たな活動資金を得る可能性もある。後ろ盾の資金源ともなっているイランはフーシの攻撃戦術に異論を唱え始めているとの見方もあり、フーシにとってシャバブとの取引は大きな意味を持つ。

一方でシャバブにとっては兵器の新たな調達先の確保ともなる。特に米国権益を標的にし得る先端的なドローン(無人機)の入手は大きな武器ともなる。

米政府当局者によると、イエメンとソマリアの異なる勢力の間ではここ数年、小火器や商品の交易はあった。米政府当局者は、これに兵器が加わるとなると別の次元の問題になると指摘した。

ソマリアに派遣され、テロ組織壊滅の作戦に当たっている米軍兵士は現在、約480人。バイデン米政権下ではシャバブの他、ソマリアへの浸透を図るテロ組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の拠点潰しの作戦も続けている。

米情報機関にとっては、フーシとシャバブの接近について、イランがどの程度絡んでいるのかの見極めが最大の眼目となっている。イランがシャバブへの兵器供与に直接的に関与しているとの証拠はまだない。ただ、米政府当局者は、イランによる過去の多くの行動を検証すれば、米国やパートナー国に直接的かつ間接的に対抗する勢力に兵器を与え、戦線を広げる戦術と一致する要素があるとも読み解いている。

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