ロシア、米国系ジャーナリストに禁錮6年半の刑 軍の虚偽情報を拡散した罪
(CNN) ロシア中部カザンの裁判所で19日、ロシア系米国人のジャーナリスト、アルス・クルマシェワ氏がロシア軍をめぐる虚偽の情報を拡散した罪で、禁錮6年半の刑を言い渡された。国営タス通信が22日に伝えた。
中部エカテリンブルクでは19日、スパイ罪に問われた米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の記者、エバン・ゲルシュコビッチ氏も禁錮16年の有罪判決を言い渡された。
どちらも非公開のスピード裁判だったことから、ロシア政府が米国との囚人交換にジャーナリストを使おうとしているとの疑惑が指摘されている。ロシアのペスコフ大統領報道官は22日、この疑惑について問われ、「私が答えることではない」と述べた。
クルマシェワ氏はチェコのプラハで米国系ラジオ局に勤務。昨年10月、ロシアに住む母親を訪ねた際、外国のエージェント(代理人)として登録しなかったとして拘束された。12月に虚偽情報を広めた罪で正式に起訴されたが、家族や勤務先のラジオ局はこれを否定。ラジオ局の最高経営責任者(CEO)は、「裁判のまねごと」と批判し、同氏の即時釈放を求めた。
クルマシェワ氏の夫はCNNに「娘たちも私も、妻が罪など犯していないと分かっている。世界もそれを知っている」と語った。帰国を信じて、8月に予定されている米歌手テイラー・スウィフトの公演チケットも買ってあるという。
夫によると、同氏は昨年5月にロシアを訪れ、6月初めにプラハへ戻ろうとした時に空港で拘束された。罰金を科され、起訴までの数カ月は自宅軟禁状態に置かれた。同氏をゲルシュコビッチ氏と同様に「不当な拘束下にある」と認定するよう、米政府に呼び掛けているという。