ロシア人傭兵、反体制派の待ち伏せ受け数十人死亡 マリ北部
(CNN) 西アフリカのマリ北部に位置する広大な砂漠地帯。ライフルを肩から掛けた反体制派の兵士たちが、地面に横たわる10体以上の遺体の間を勝ち誇った様子で歩いている。SNSのテレグラムにこのほど投稿された動画の一部だ。現場は砂と岩に覆われた地形で、画面の外からは銃声も聞こえてくる。
同国では珍しくない戦闘の一場面だが、通常と異なるのは倒れているのがロシア人だという点だ。動画の終わりに、カメラはひげを生やした白人男性を映し出す。見たところ命乞いをしているようだ。
別の動画では複数の白人男性が車両の残骸の間にひざまずき、ゲリラ兵らに囲まれている。民兵を乗せたピックアップトラックが近づく中、男性らの頭を蹴っている兵士もいる。
動画の中のロシア人傭兵(ようへい)らは、マリ政府軍と共に先週アルジェリアとの国境近くを警備していた際に襲撃されたようだ。現地はイスラム過激派やトゥアレグ族が長年にわたり活動する地域として知られる。
トゥアレグ族の反体制派とサハラ砂漠南部のサヘル地域を拠点とするアルカイダ系の「イスラム・ムスリムの支援団」(JNIM)が襲撃に関わったと主張している。後者は28日に「複合的な待ち伏せ」によってロシア側の車列を壊滅させたと説明。ロシア人50人とマリ軍兵士多数を殺害したとした。また炎上する車両数台と数十体の遺体が映った動画を投稿した。
トゥアレグ族の武装組織の報道官は、戦闘で複数のマリ軍兵士とロシア人戦闘員が拘束されたとも明かした。
ロシア人が運営する複数の非公式テレグラムチャンネルによれば、最大80人のロシア人が殺害されたという。
ロシアの準軍事組織が、アフリカで活動してきた過去数年間でこれほどの損失を出すのは初めて。ロシア政府はかねて、代理勢力を使ってサヘル並びに中部アフリカ地域一帯における西側諸国の影響力に対抗しようとしてきた。それには不安定な現地の政権を支えることも含まれる。
29日、ウクライナ保安局(SBU)を代表するアンドリー・ユーソフ氏は同国のテレビ放送で、現地の武装組織に情報を提供したことを明らかにした。これによりロシアの戦争犯罪人に対する軍事作戦が成功したという。
同氏は現時点で詳細を説明するつもりはないとしつつ、今後も同様の攻撃が続く見通しだと付け加えた。
アフリカで活動するロシアの民間軍事会社ワグネルと関係のある複数のチャンネルによれば、当初はワグネルの戦闘員が武装組織側に多大な損害を与えていた。しかし後者が既に再編を済ませたため、ワグネルの司令官は「追加の部隊を戦闘地域に送り込む決断を下した」という。
ワグネルは現在、ロシア国防省がアフリカ部隊と呼ぶ組織の一部となっている。