ユダヤ人入植者が町を襲撃、イスラエル当局トップら非難 ヨルダン川西岸
(CNN) イスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区で15日、武装したイスラエル人入植者70人以上がパレスチナ人の町を襲撃した。町は壊滅状態に陥り、イスラエルの高位当局者が襲撃を激しく非難する事態となっている。
入植者らは当該の町ジットを襲撃。住民に向けて実弾と催涙ガスを発射し、家屋や車両などに火を放った。ジットの議会トップ、ナセル・セッダ氏が明らかにした。
セッダ氏のいとこは襲撃で殺害されたという。パレスチナ自治政府保健省は、23歳のパレスチナ人が胸の負傷が原因で死亡したことを確認した。
セッダ氏はCNNの取材に答え、今回ほどの規模の襲撃は過去に受けたことがなく、事前に警告も与えられなかったと説明。女性や子どもを含む住民は不意を突かれた形になったと述べた。
イスラエル国防軍(IDF)は、一部覆面をした同国の民間人数十人が放火や火炎瓶を投げるなどしたと発表。その後イスラエルの治安部隊によって追い払われたとした。
襲撃に関して1人が逮捕され、取り調べを受けている。当局がパレスチナ人の死亡について調査しているとIDFは述べたが、死者の氏名は明かさなかった。
現在イスラエル総保安庁(ISA)とイスラエル警察が合同で捜査している。
イスラエルのネタニヤフ首相のオフィスは声明を出し、襲撃を非難。ネタニヤフ氏が事件を「最大限の厳格さで」精査すると警告し、「いかなる犯罪であれ、それに関与した者は今後逮捕され、裁判にかけられる」と述べた。
アルベル内相は襲撃について、「深刻な国家主義者による犯罪」であり、ユダヤ教の価値観に反すると主張。ガラント国防相も「暴力的で過激な暴動」とし、「イスラエル国家の支持する価値規範の対極に位置する」との認識を示した。