カンボジア、人身売買報道の記者を逮捕 米大使館などが釈放要求
(CNN) カンボジアで組織的な人身売買の実態などを報じてきたジャーナリストが逮捕され、米国など諸外国の政府や人権団体が釈放を呼び掛けている。
首都プノンペンの裁判所が発表したところによると、ジャーナリストのメチャ・ダラ氏は先月のSNS投稿で「重大な社会的混乱」を引き起こしたとして、9月30日に扇動容疑で逮捕された。
現地のNGOによると、ダラ氏はこれまでカンボジア国内の汚職や環境破壊、人身売買を告発してきた。米国務省は昨年、同国を拠点とする大規模な詐欺の報道で同氏を表彰していた。
カンボジアの米大使館はX(旧ツイッター)への投稿で、ダラ氏の逮捕を「深く憂慮」していると述べて釈放を要求した。
欧州連合(EU)とオーストラリアも同様に懸念を表明している。
カンボジアの報道機関や市民団体が構成するグループも同氏の即時釈放を求め、逮捕は「本人やほかのジャーナリストらを脅して口を封じようとする明白な企て」だと非難した。
人権団体によると、カンボジア当局はこれまでも人権活動家やジャーナリスト、反政府活動家らを扇動容疑で抑えつけようとしてきた。
ダラ氏の報道の焦点は、カンボジアを拠点に東南アジアで数十万人に被害を及ぼしている組織的な詐欺にある。多くの人々が求人情報にだまされ、人身売買の被害に遭ってきた。
国連によれば、カンボジアで10万人、ミャンマーで12万人が奴隷状態で拘束されている。その収容先から、中国系を中心とする国際犯罪組織が世界各地に大規模なオンライン詐欺を仕掛け、巨額の利益を得ている。これまでに実態を報じたジャーナリストらは、嫌がらせや監視、法的な脅しを受けてきたとされる。