ガザ住民、心の健康状態も悪化 「心理的安全性」存在せず
(CNN) パレスチナ自治区ガザ南部のナセル病院。救急病棟には血の臭いが充満している。家族や親しい人をイスラエルの空爆で殺害された人たちが、遺体安置所のそばで葬送の祈りの言葉をささやく。
デボラ・ワイドナー医師によると、ハンユニスにある同病院のすぐ前にはマンゴー売りが出ている。幼い子どもたちは吹き飛ばされたビルを背景に、サッカーをして遊んでいる。
「この場所は半分破壊されている」と話すワイドナー医師は、今年に入ってナセル病院に派遣された米国人の精神科医。9月にCNNの取材に応じ、「爆弾は衝撃波を放つ。数マイル離れていてもビルが揺れる」と語った。
ひっきりなしに運ばれてくる攻撃の負傷者に、医療従事者は必死になって対応しようとしている。イスラエル軍の爆撃やガザ包囲が続く中、病院は物資の欠乏状態にある。地元の職員には、次々に搬送されてくる大勢の負傷者の中に、自分の家族がいるかもしれないという不安がのしかかる。
「みんながただ機械的に動いている」とワイドナー医師は言う。「身体的な安全性も、心理的安全性もない。何も予測がつかない。誰がけがをするのか、今度はどこが爆撃されるのか、あまりにも手あたり次第だ」
以前から統合失調症などの精神疾患を患っていた人は症状が悪化しているといい、自分自身の行動を恐れる人や、薬が欲しいと言って病院に来る人もいるとワイドナー医師は話す。
「彼ら(パレスチナ人職員)は、ただ進み続ける」「アラーの神への信仰と信心は大きい。大抵の人は希望を持っている。けれど、もし何も変わらなければどうなるかと思うと、私は不安に駆られる」