ロシア、ウクライナ南部で故意に民間人をドローン攻撃 住民証言
キーウ(CNN) ウクライナ南部ヘルソン市では、市民が大雨を期待し始めている。大雨はロシアのドローン(無人機)が上空を飛行できなくなる唯一の気象条件だからだという。
地元当局によると、同市の一般住民に対するドローン攻撃は秋に入ってから急増しており、住民はロシアのドローンが歩行者や車、バス、さらには救急車まで攻撃したと報告している。
負傷の報告は、ドローンが民間人を狙っていることを示唆しており、高齢者や子どもが攻撃される場合もある。
地元軍当局によると、ヘルソン中心部の住宅地では先週、車が攻撃され、乗っていた76歳の女性が重傷を負った。同市郊外のアントニフカでは今月、ドローンが公共バスに爆発物を投下し、69歳の女性が死亡したという。
当局によると、9月初め以降、少なくとも14人がドローンによって殺害され、さらに222人の成人と3人の子どもが負傷した。
地元住民はアントニフカ郊外へ続く道を「死の道」と呼んでいる。近くのロシア軍の射程圏内にあり、かつては戦闘の中心地だったからだ。
ヘルソンは2022年3月初旬にロシア占領下におかれた最初の主要都市で、8カ月後に解放された。昨年6月にはロシアが支配下におくドニプロ川上流約58キロのカホウカ・ダムが破壊され、市内の一部が浸水した。現在も占領の脅威は川の対岸に迫っており、ロシア軍の陣地は文字通り視界に入っている。
アントニフカ郊外の工場で働き、人道支援ボランティアをしているタチアナ・ヤコブレワさんは占領中も村にとどまり、開戦以来、爆弾の破片などで何度も負傷している。直近では民間人への人道支援を手伝っていた避難所がドローンに襲われた。
ヤコブレワさんはCNNに対し、「ドローンは私たちの上空を長時間ホバリングしていた。そしてドアの横に手りゅう弾を投下した」と語った。
ヘルソン地域で活動しているウクライナ軍の2人の情報筋は、ロシアによるドローン攻撃の軍事的根拠について何も語らず、「地元住民を恐怖に陥れるためだけだ」と述べた。
ヘルソン地域の軍当局によると、ロシアは9月、同地域を2700機以上のドローンで攻撃。今月10月17日までにすでに1500機を展開した。