国連機関の活動禁止法案提出のイスラエル議員、成立阻止に動く米国大使を非難
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区とヨルダン川西岸地区で活動する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)がイスラエルで活動することを事実上禁じる法案を提出しているイスラエルの国会議員が、米国の駐イスラエル大使が野党指導者らに働きかけ、この動きを阻止したと非難している。
この法案が今週、イスラエルのクネセト(国会)で可決されれば、イスラエル当局がUNRWAの職員にサービスを提供したり、対応したりすることが禁じられ、UNRWAはイスラエルで活動することができなくなる。
米国をはじめとする複数の国々が、この法案の影響について懸念を表明している。
イスラエル政府は、UNRWAの職員の一部がイスラム組織ハマスと関係していると主張している。UNRWAはこの疑惑を強く否定しているが、複数の政府は今年初め、疑惑の調査が行われている間、同機関への資金拠出を停止した。
議員のユリア・マリノフスキー氏はCNNに対し、米国のルー駐イスラエル大使が法案を阻止するため、イスラエルの最大野党を率いるヤイル・ラピド氏や、ガンツ前国防相を含む野党指導者数人と接触したと語った。
マリノフスキー氏は、米国の圧力は受け入れられないと反発している。
米国務省はCNNに対し、政策上、非公開の外交交渉についてはコメントしないとしながらも、提案された法案によってUNRWAは活動できなくなり、「イスラエルが埋める責任のある空白」を残すことになると述べた。UNRWAはガザ、ヨルダン川西岸、レバノン、ヨルダンで極めて重要なサービスを提供しているとも述べている。
UNRWAは長い間イスラエルの批判の的となっており、ガザでの戦闘が続く中、イスラエルと国連の関係は悪化している。
米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官は今月初め、イスラエル政府の高官2人に送った書簡の中で、バイデン政権は法案採択の可能性について「深く懸念している」と述べた。
クネセトのほとんどの政党はこの法案を支持するとみられる。ラピド氏は非公開の会話についてのコメントは控えたが、UNRWAは「昨年10月7日の残虐な虐殺で積極的な役割を果たした。同組織の機関からイスラエルに対するテロ攻撃が展開された」と語った。
カナダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、韓国、英国の外相は26日、この法案について「重大な懸念」を表明。UNRWAの活動がなければ、「ガザとヨルダン川西岸での教育、医療、燃料配布を含む」支援の提供は「不可能ではないにしても、著しく妨げられる」と述べた。