イスラエル首相、国防相を解任 戦争と内政巡り数カ月にわたり衝突
(CNN) イスラエルのネタニヤフ首相がガラント国防相を解任した。両者はこの数カ月間、内政やイスラエルの戦争行動を巡って衝突していた。
5日夜の声明でネタニヤフ氏は、自身とガラント氏との信頼にひびが入ったと述べた。
後任はカッツ外相が務める。外相のポストはギドン・サール氏が引き継ぐ予定。首相府が5日に明らかにした。両氏とも軍の経験は限定的だが、カッツ氏は継続して戦時内閣の閣僚を務めている。
国防相の交代は、最大の同盟国である米国の大統領選の投票日と重なった。ガラント氏は米政権と緊密なパイプを有し、オースティン米国防相とは連日言葉を交わしていたと伝えられる。
イスラエルは現在、イランからの報復攻撃の可能性に備えている状況でもある。
ガラント氏は解任の決定が公になった後、X(旧ツイッター)に「イスラエルの安全保障はこれまでも、そしてこれからも常に私の生涯の任務だ」と投稿した。
ネタニヤフ氏は5日、ガラント氏との意見の食い違いを解消しようと「何度も試みた」が、それは「拡大する一方」となり、「容認できない形で世論の知るところとなった」と明らかにした。さらに両者の対立は敵対勢力にも伝わり、相手側に大きな恩恵をもたらしていると続けた。
国防相の後任はカッツ外相が務める/Thomas Koehler/picture-alliance/dpa/AP
イスラエルの政界では長く、ネタニヤフ氏がガラント氏を解任し、政治的な盟友を後釜に据えるとの臆測(おくそく)が流れていた。それは自身の国内での権力増強を意図した措置とされてきた。ネタニヤフ氏はかねて、自身の不安定な右派連立政権の維持に苦慮。自らの利益相反を巡っても混乱を招いている。政権が瓦解(がかい)すればネタニヤフ氏の指導者としての地位にも終止符が打たれる可能性がある。
ネタニヤフ氏が最初にガラント氏の解任を試みたのは昨年、司法改革の提案に同氏が反対した際のことだった。この時は野党の呼びかけにより、全国規模の街頭デモが展開されていた。