ゼレンスキー氏、独ロ首脳の電話会談を批判 「パンドラの箱」を開く
(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は16日までに、ドイツのショルツ首相とロシアのプーチン大統領が15日に行った電話会談を「パンドラの箱」を開くものだと批判し、プーチン氏を孤立化させる取り組みの妨げにしかならないとの認識を示した。
ゼレンスキー氏はショルツ氏の電話会談について、「これはまさにプーチン(大統領)が前々から望んでいたものだ。彼にとっては自身やロシアの孤立を弱めること、何の結果ももたらさない普通の交渉を行うことが極めて重要な意味を持つ」と述べた。
ショルツ氏がプーチン氏と会談するのは2年ぶり。今回の電話会談は、ショルツ氏が解散総選挙に備えた準備を本格化させ、欧州がウクライナ戦争終結に向けたトランプ次期米大統領の計画を注視するタイミングで行われた。
ロイター通信がドイツ政府の発表内容として報じたところによると、ショルツ氏は電話会談でプーチン氏に対し、ウクライナから撤兵した上で「公正かつ持続的な和平」への道筋を開く会談を始めるよう求めた。
ロシア大統領府(クレムリン)によると、会談はドイツ政府の要請で行われたという。プーチン氏はショルツ氏に対し、いかなる内容であれ終戦合意はロシアの安全保障上の国益を考慮に入れ、「新たな領土の現実」を反映する必要があるとの考えを示した。
ロイター通信は事情に詳しい情報筋の話として、ゼレンスキー氏や欧州の当局者はショルツ氏に、ロシアとの協議を控えるよう促していたと報じた。今回の動きはドイツ国内向けの側面が強いとみられている。
解散総選挙を来年2月23日に控え、ショルツ氏率いる社会民主党(SPD)はロシアに友好的な左右両翼のポピュリスト(大衆迎合)政党から突き上げを受けている。ロイター通信によると、こうした政党は、政府が終戦に向けた十分な外交を展開していないと主張している。