「白紙運動」のドキュメンタリー制作、映画監督に禁錮3年6カ月の実刑 中国
デモは結局、治安当局の徹底した取り締まりによって鎮圧された。その後間もなく、中国政府は方針を転換してコロナ規制を撤廃したが、デモについて公式に認めることはなかった。
陳さんのドキュメンタリーはユーチューブとX(旧ツイッター)で公開されたが、中国では遮断されている。その後、陳さんのアカウントはユーチューブからもXからも削除された。
ドキュメンタリーのタイトル「ウルムチ中路」は、同名の都市で起きた火災をめぐって抗議運動が行われた上海市内の通りの名称だった。
英語のタイトルは「Not the Foreign Force(外国の勢力ではない)」。陳さんはかつて、抗議運動を画策したのは「外国の勢力」だったとして信頼を失墜させようとする政府に対し、このドキュメンタリーで対抗したいと語っていた。
中国の多くの若者と同様に、陳さんが中国で自分の政治的要求を口にしたのは、22年11月26日に上海で抗議運動に参加した時が初めてだったという。
ドキュメンタリーは自分の個人的な経験や記憶を伝えるために制作したとして、陳さんはこう記していた。
「中国国内で衝突が起きるたびになぜ、常に外国勢力がスケープゴートにされるのかを探りたい。答えは誰にとっても明らかだ。政府が誤解を与え、忘れ去り、検閲するほど、私たちは声を上げてみんなに思い起こさせ、記憶しなければならない。その醜さを記憶することによってのみ、私たちは光に向かって進むことができる。中国がいつか自らの光と未来を受け入れることを願う」