米国産品はもう買わない 「トランプ関税」に憤るカナダ国民、不買運動に殴り合いも

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「カナダ産」というタグがつけられたメープルシロップの売り場=カルガリー国際空港/Artur Widak/NurPhoto/Getty Images

「カナダ産」というタグがつけられたメープルシロップの売り場=カルガリー国際空港/Artur Widak/NurPhoto/Getty Images

オンタリオ州キャサリンズに住む元看護士のニッキ・ゴーティエ氏は、「無礼で不当な」米国の関税のことを聞いて憤りを感じたと振り返る。

米大手アマゾンのサブスクリプションは即座に解約し、代わりに中国のネット通販「Temu(テム)」の会員になった。スーパーで買い物をする際は産地を念入りに調べ、できる限りカナダ産品を優先する。「カナダ産のレタスがなければメキシコ産のレタスを買う」

カナダの自治体の動きは早かった。オンタリオ州のダグ・フォード州首相は、カリフォルニア産のワインからジャック・ダニエルのウィスキーに至るまで、米国産品を全て店頭から撤去するよう、州営の酒類販売店に指示した。フォード氏によると、同州の酒類管理委員会は世界最大級の卸売業者で、年間およそ10億ドル相当の米国産酒類を販売している。

カナダがトランプ関税と戦ったのは今回が初めてではない。1期目のトランプ大統領も、カナダとメキシコとの間で自由貿易協定の交渉を進めているさなかに、外国からの全ての鉄鋼輸入に対して25%、アルミニウムの輸入に対しては10%の関税を課した。

ロボ氏の運営するサイトは、そうした米国の関税に対抗してカナダのビジネスを応援する目的で2018年に開設された。同氏によると、1日に4~5件程度だった新規のビジネス案件は、この数週間で5000件近くにまで増え、同サイトの1日のトラフィックは前年の10倍に増えている。

トロントのピザ店を経営するパルマティア氏は、米国製品からの切り替え(米小売り大手コストコとの取引停止を含む)は比較的簡単だったと振り返り、地元でも圧倒的に支持されていると説明。「カナダ人のこれほどの団結ぶりを見るのはずいぶん久しぶりだ。みんな考えていることは同じらしい」と指摘する。

米国に比べるとカナダでは伝統的に低かった愛国心も強まっている。カナダ国旗(ここ数年は新型コロナワクチンと行動制限に反対した22年の右派の抗議運動に結び付けられることが多かった)は国家のプライドやトランプ氏に対する抵抗のシンボルと見なされるようになった。

カナダ国旗を製造するフラッグス・アンリミテッドは、1年前に比べて売り上げが倍増したとCNN提携局のCBCニュースに話している。

有名人も加わっている。米国の人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」でイーロン・マスク氏に扮したカナダ人俳優マイク・マイヤーズ氏は、「カナダは売り物ではない」というスローガン入りのTシャツ姿だった。

マイヤーズ氏は番組のエンドロールでも、腕を折り曲げて「Elbows up(ひじを上げろ)」と口にした。アイスホッケー用語で「今こそ戦え」の意味だった。

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