米国産品はもう買わない 「トランプ関税」に憤るカナダ国民、不買運動に殴り合いも
(CNN) カリフォルニア産のトマトはイタリア産のトマトに替え、オハイオ産のペパロニはカナダのオンタリオ産とケベック産の肉に入れ替えた。コカ・コーラは炭酸水にして、カナダ産のメープルシロップで甘味を添えた。
米国のドナルド・トランプ大統領は1月下旬以来、カナダを米国に併合するという脅しを強め、関税措置でカナダ経済を混乱に陥れている。
トロントのウェストエンドでピザ店を営むグレアム・パルマティア氏は、冷蔵庫と棚の中身を入れ替えると客に宣言した。米国産品や米国企業の製品はもう使わない。
怒りというなじみのない感情が、普段は温厚なカナダ人の間に沸き起こっている。
米国とトランプ大統領に対する敵対心は、トランプ氏がカナダからの輸入品に一律の関税をかけると宣言し、カナダを米国の51番目の州と言い始めた時から増大した。
カナダ人は国境の南側への旅行をキャンセルし、スポーツイベントでは星条旗に大声でブーイングを浴びせるようになった。2月に行われたカナダ対米国のアイスホッケーの試合は、選手同士の殴り合いに発展した。
パルマティア氏のように米国産品のボイコットに踏み切る人たちもいる。しかし米国との経済的な結びつきが強いカナダにとって、それは容易ではない。カナダの米国との昨年の貿易額は7600億ドル(約11兆円)を超えていた。
トロント在住のディラン・ロボ氏が運営するカナダ国産品の案内サイト「Made in Canada」は、トランプ氏の脅しに反発して国産品を支持する国民が増える中、ここ数カ月でトラフィックが急増している。
「あれはカナダに対する攻撃だ」とロボ氏は言い切った。
多くのカナダ人にとって、関税をめぐってトランプ氏との間で2カ月にわたって交わされた応酬は、両国関係に回復不可能なダメージを与えた。
ブリティッシュコロンビア州のデイヴィッド・イービー州首相は「両国関係は永遠に変わってしまった」と嘆く。
トランプ氏は1月にホワイトハウスに返り咲いて以来、カナダに対する脅しを繰り返し、カナダのジャスティン・トルドー前首相をやゆして「知事」と呼んだこともあった。そうした言動は、米国の長年の友人であり、同盟国だったカナダの神経を逆なでした。
「カナダ人は今、憤慨し、怒り、失望している」。米デトロイトに隣接するオンタリオ州ウィンザーのジョン・リードカ氏はCNNにそう語り、「『もう二度と国境の向こう側には足を踏み入れない』という人たちもいる」と話した。