ビジネス界に広がるコーチング 英企業の8割が導入
ただ、導入にあたっては注意すべき点もある。まず重要なのはコーチの資質の問題だ。現時点では基準が明確でないため、だれでもコーチを名乗ることができる。もうひとつ、コストの問題もある。コーチングは決して安くない。
こうした問題点を考慮して、自前のコーチを養成する企業も目立つ。ビジネス・コーチングの世界で今、最も勢いよく伸びているのがこのパターンだという。パーディー氏は「人材を育成すれば、その恩恵は長年にわたって続く。内部のメンバーが他のメンバーの能力を引き出し続けるという流れは、成功する組織の大きな特徴だ」と説明する。
英ドンカスター大学は、まさにそのやり方で成功した。
現学長のジョージ・トロー氏が就任した当時、同大学は5年間で学長が7人も交代し、学生の成績も財政状況も良好とはいえなかった。そこでトロー氏は学内の管理職70人にコーチングの訓練を受けさせ、内部から10人のコーチを養成した。それからほぼ3年。学生たちの成績は目覚しい伸びを示し、財政状況もすっかり健全化しているという。