香港政府、経営者情報の公開制限を提案 透明性めぐり物議
香港(CNN) 香港政府がプライバシー保護強化を理由に、これまで会社の登記情報で一般公開していた経営者の住所などの情報を非公開とすることを提案し、情報の透明性をめぐる論議が持ち上がっている。こうした登記情報は、中国上層部による巨額の蓄財をめぐる報道などに利用されたこともある。
登記情報は、香港で登記された会社の経営者について調べる目的で、主にマスコミや金融機関が使っていたが、香港政府は今回、役員の住所と身分証明書番号を非掲載とする方針を打ち出した。
これを受けて香港5紙の28日の紙面には、提案反対の意見広告がジャーナリストや教育者、学生など1700人強の署名を添えて掲載された。
「秘密主義は腐敗を生む」の見出しの下、情報制限は「公共の利益の侵害」に当たると主張、「プロジャーナリストや市民ジャーナリストの調査報道権に重大な影響を及ぼす」と指摘している。
登記情報のデータベースから入手した情報は、昨年、米紙ニューヨークタイムズと米通信社ブルームバーグに記事が掲載された中国のエリート一族の財産に関する調査報道にも使われた。
提案に対しては実業界や投資家からも懸念の声が出ており、著名投資家のデービッド・ウエッブ氏は、変更が実施されれば投資銀行や新規株式公開(IPO)の出資者が、個人資産の実態を見極めるのが難しくなると指摘、「自由市場、透明性、法による支配に関するわれわれの評判は地に落ちる」と懸念する。
香港ではこうした問題が持ち上がると、中国政府による介入について不安が高まる傾向がある。