負の感情もキャリアアップの糧に 七つの大罪の思わぬ「効用」
このような科学的分析と軌を一にしているのが、ジャーナリストであるアン・クリーマー氏の見解だ。
クリーマー氏は、職場と感情を扱った著作のなかで、人間が進化の過程で外的な脅威に直面した際、感情面でいかにして障壁を乗り越えてきたかを詳細に述べている。
今日の職場に置きかえると、昇進を控えていたり、同僚と軋轢(あつれき)があったりして、精神が不安定になっている場合に当たる。
同氏が着目するのは怒りの感情だ。ストレスにさらされて怒りを爆発させるような振る舞いは一般に、職業人としてあるべき姿ではなく、同僚にとっても悪影響だとされるが、必ずしも破滅的なやり方で表現する必要はない。
クリーマー氏は「良い怒りもある。敗者のための怒りや、競争を促す怒りだ。文化においても生活面においても、重大な誤りなどを正す力になる。ただ、怒りは適切な方向に向けられる必要がある」と説明する。