日本が世界に誇るウイスキー 蒸留所を訪ねて
「(ウイスキーに)こだわりがある人は、どこの免税店でも買える物ではなく、より興味深い品を求める」と語るのは、香港の中環にオープンする最高級ウイスキーバー「ノクターン」のオーナー、リッチモンド・リー氏だ。
ノクターンは150種以上のウイスキーを揃え、スコッチの品揃えでは群を抜いているが、リー氏によると、同店では日本のウイスキーを注文する客が圧倒的に多いという。
「驚いたことに、うちの顧客の3分の1は女性で、皆さん、日本のウイスキーをストレートで飲まれる」とリー氏は語る。
「恐らく、日本のウイスキーはスコッチよりも舌触りが滑らかで、甘みがあるからだろう。また品質の面でも、日本のウイスキーは年代物でなくても質が高い」(同氏)
スコッチを超えたスコッチ
それゆえ、今、ウイスキー界には衝撃が走っている。
21世紀に入ってからのジャパニーズウイスキーの日の出の勢いは、「パリスの審判」を思い起こさせる。1976年に行われたワインをブラインド・テイスティングする試飲会で、カリフォルニアワインが初めて、すべての部門で最高と評価され、当時フランスびいきだったワイン界に激震が走った。
それと同様に、ここ10年、日本のウイスキーがスコットランド産ウイスキーを上回る評価を受けるという信じ難い現象が起きている。
2001年、ニッカの「余市10年」がウイスキーマガジン誌上で「ベスト・オブ・ザ・ベスト」に選ばれ、2003年には、サントリーウイスキー「山崎12年」が、酒類国際コンテスト「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」で、ウイスキー部門の金賞に輝いた。
それ以降、世界の主要なテイスティング競技会では日本のウイスキーが常にメダルを獲得してきた。
サントリーは昨年、英国で開催されたインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2013で、3度目となる「ディスティラー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。また「響21年」は、世界のウイスキー部門の最高賞「トロフィー」を受賞した。
しかし、世界の売上高で見ると、日本のウイスキーの総売上はグラスの中のほんの1滴にすぎず、世界で最も売れているウイスキーのベスト10に日本のブランドは1つも入っていない。しかし、日本のトップウイスキーメーカーは、少なくとも2006年以降、生産量と輸出量を着実に増やしており、サントリーは2016年までに輸出量の倍増を見込んでいる。
錬金術の最大のライバルたち
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